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柳生武芸帳 片目の十兵衛の東京キネマのレビュー・感想・評価

柳生武芸帳 片目の十兵衛(1963年製作の映画)
3.0
松方弘樹さんの追悼です。

本来ならテレビでバンバン追悼の映画特集があっても良い筈なのに、代表作と言えばヤクザ映画だらけなのでテレビじゃ放送できないということになってるらしいです。 今まで散々美味しい思いしてきたんだから、少しは根性出して放送しても良いのにねえ・・・ったく、ヘタレだよ、テレビ局は。

さて本題。 松方さんのデヴューは17歳の時の 『十七歳の逆襲・暴力をぶっ潰せ』 (1960年)なのですが、ビデオが見当たらない。 というより、松方さんが十代の時の映画がほとんど無い。 それで、親子共演ということでDVD化されたんでしょう、本作くらいしか見当たらなかったので、本映画が最初の鑑賞となりました。 とは言っても映画デヴューから3年も経ってますが・・・。

クレジットでは一枚目が柳生十兵衛役のお父さん近衛十四郎。 トメが宿敵伊達政宗役の山形勲。 松方さんはオープニングの二枚目なので、格で言えば三番目です。 破格に良い待遇だとは思いますが、この柳生武芸帳シリーズはスタートが1961年からで、合計9本作っているうちの4作目で、なおかつシリーズでも本作品しか松方弘樹さんは出演していません。 なので、まあ穴埋めのゲスト扱いってことなのかも知れません。

実はこの映画見る前、見ていられないくらいの青い芝居をしているんだろうなあと思っていたんですが、ちょっとびっくりする程ちゃんと仕上がってます。 後年の見得の芝居じゃなく、自然体です。 記憶にある松方弘樹さんとは別人です。 本作は昭和38年公開ですからセット美術や衣装も凝っていますし、エキストラも多く見栄えがとても良いです。 柳生十兵衛ですから当然忍者ものなのですが、適度に残酷で大人向けに作っているのも好感が持てます。 ただね、もうこの時代は東映の時代物チャンバラ映画自体にお客さんが来なくなり始めた時期でもあるので、どうもなんか敗戦処理のような、ルーティンになっちゃったプログラム・ピクチャー臭といういいますか、地味~な感じに仕上がっています。 それにこの年は 『人生劇場 飛車角』 が始まった年ですからね。 東映が時代物から任侠物に明確に舵を切った年でもあるんですよね。 だから余計におとなしく感じるんですね。

ということで、昭和30年代中盤まで続いたスター映画のフォーマットがだんだん通用しなくなってきたこともあって、松方さんの二枚目スターとしてのキャラクター作りは逡巡の時代に入り、この後も長い低迷期間というかパッとしない時期といいますか、方向性に迷う時代に突入していきます。