Jaya

幸福(しあわせ)のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

建具屋で二児の父のフランソワが郵便局員エミリと浮気して妻のテレーズが死んで再婚するお話。色々察するような車乗ってますが狙ってるなら凄すぎる…。

いきなり少女漫画みたいな脳天気な一家の映像。完全に虚仮にするような撮影で劇伴がまたある意味毒々しい。更にいかにもアホな不倫カップルのフランソワとエミリ。何だこのリアリティ。

強烈に冷徹な目線を感じるとともにその心情を計算し尽くしたようなカットバックやジャンプカットや構図の数々が苦々しい。エミリを最初に尋ねたときのフランソワの視点が特に印象的でした。

唐突だけど冒頭から予感できるテレーズの死ですが、その原因が何であろうとも死人に口無し。当然の帰結として再婚する2人。打って変わった劇伴とともに晩秋の森の中、幸福な一家の姿。

一貫して二児が完全に愛でる対象としか描かれていないのが不自然でしたが、これがテレーズを含めた、彼らからの目線を表象してるなら恐ろしく凄まじい。

序盤は私怨や男性性をもとにした作品かと勘繰りましたが、ともに幸福たらんとする人間の相互了解の根源的な不可能性がえげつなく冷酷な目線で描き出されていて、呆然としてしまった傑作でした。
Jaya

Jaya