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幸福(しあわせ)の小のレビュー・感想・評価

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)
4.3
ヌーヴェル・ヴァーグの2大作家で夫婦のジャック・ドゥミとアニエス・ヴァルダ。シアター・イメージフォーラムの特集上映「ドゥミとヴァルダ、幸せについての5つの物語」にて鑑賞。これ面白い、好き。

会社で男性が女性に、気軽に雑用をお願いするとか、無駄話をするとかってよくありませんか? 女性は、男性から見ると、快く対応してくれているようだけど実は迷惑で、面倒くさい、と思っているのです(私見ですが)。

というようなことと同種のテーマではないかと。公式ウェブの紹介文には<「男ってなんてバカなの」「女は、何考えているのかさっぱりわからない」そんな類のテーゼを根本から吹き飛ばす衝撃的な人間ドラマ>とあるけれど、これアレです。極端で過剰な表現によって、見る者にガツーンと一撃くらわせるヤツ。

男は自分の理屈で良いと思ったことを女に求め、女は男の気持ちを受け入れてくれるように見える。しかし本音は、男のムチャ振りを全く快く思っていない。物事を荒立てたくないから、我慢して気持ちと違う行動をしているだけ。「どうしてそんなこともわからないのだろう、男ってバカ」と。

一方、男からしてみれば「だって俺、言ったじゃん、わかってくれたじゃん」と、自分のムチャ振りであることは棚に上げ、女がいざ本音の行動をとると、それが何故か理解できない。

これは不倫の物語だから、男から見ても主人公の男はバカだなあと思うけれど、それだけで終わってしまうと男女の間(に限らないけれど)に立ちはだかる認識のギャップというか、気持ちのスレ違いみたいな、根本的な問題に気づけない。

ああ、今ならよくわかるかもしれない、『私の少女時代』という映画のヒロインが言っていた台詞の意味が。

「女の子の大丈夫は大丈夫じゃない。何でもないは、(問題)大アリ。もう知らないは、とても気になる」。

このことを理解しない男が考える「幸福(しあわせ)」は、全然「幸福(しあわせ)」じゃないぞ、ということを突きつける、個人的にとても身につまされる映画。

●物語(50%×4.5):2.25
・ガツーンと衝撃系。結構好き。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・カラフルな色使いが良いなあ、と。

●映像、音、音楽(20%×4.0):0.80
・二つの家族で全く違う雰囲気の音楽の対比も素敵。
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