白

幸福(しあわせ)の白のレビュー・感想・評価

幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)
4.5
自然の美しさや人間の官能さが混沌と活写される画面が男性原理支配下における女性の従属的立場を皮肉に匂わす。交換可能とされた女性性の叫びは死を通して声を得るも、その痛々しさはエゴイズムによって配置された新しい「幸福」が忘れさせてしまう。原色フェイドやジャンプカットの多用が、メッセージとは裏腹に静かで穏やかに展開する物語を良く異化している。モーツァルトで彩られる満ち足りた家族や爛漫に花咲く自然の潤いの描写が、多幸感が横溢する光に照射され、それが一貫して円環的に継続される点が面白い。
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