生姜異物強壮

バーチャル・ウォーズの生姜異物強壮のレビュー・感想・評価

バーチャル・ウォーズ(1992年製作の映画)
3.3
現時点(2019年)の鑑賞感覚で評したらフツーに「3以下」だけど、90年代初頭に「この映画が出来たこと」の功績を加味してのスコアリング。

何せ、ネット隆盛前の「サイバーちっくなホラー」だからね。公開された1992年は、Windows95すら世の中に無い時代……つまり、スマホはおろか、一般人がパソコンに触れることも滅多ない!?時分だったワケで。

なのに、ヒトの人格や思考中枢が肉体を離れて電子生命?となり「電話線を操る」なんて、ぶっ飛びかたが1988年に『攻殻(漫画版)』を出した士郎正宗くらいに先進的だった。ディテイルの仕上げは粗いが。

たとえば、こっちの実験スーツなんか(当時の10年前=1982年の)『トロン』からの借用感あり過ぎで^^;その無芸さはザ・B級、なんだけどね。それでも尚、「ヒトの超進化」を招いてしまう原因として、よくもまあ『アルジャーノンに花束もどきプロローグ』を接いだもんだw って辺りは評価し得る。ナイスな着想。

ときに攻殻っちゃあ、かのベッソン御大の『LUCY』が発表されたとき、世間じゃ映画『GHOST IN THE SHELL』からの影響か?云々と言われたらしいけど、違うな全然。

『GHOST ~』より3年先に公開されてた本作の方が「よっぽどLUCY的」なストーリーだし、実際、本頁↑掲載のジャケ画像にある通り、本作はフランスでも “モルモット(被験者)”の意の『Le Cobye』てな仏題で「輸入映画にしては結構なヒット成績」を記録した。観客層も、何もアニメファンだけに限らずね。

ベッソンが影響受けるなら、そりゃ先ず⚡こっちだろに。

一方、それじゃ逆に、本作に漫画版の『攻殻』のヴィジュアルが影響した可能性はないのか。ゼロとは言い切れまい。制作企画は1990年頃から始まり、当時の一番の成金王国ってばダントツ!日本だった。

この頃のハリウッドは、メインストリームの大作でもないのにカネのかかる案件と見るや(きょうびの中国資本みたく)遠く極東の日本資本を頼ったりしたもんだった。で、本作もジャパン・マネーが注ぎ込まれ、企画には日本スタッフ(松竹系)が参画してる。そこで士郎ワールド“的なサイバー描写”の加味が提案されてた?可能性はある。

…とかとかの制作経緯で来といて、だよ?

最終的な作品の能書き上じゃ「原作者」、と祭り上げられそうになった巨匠スティーヴン・キング。そりゃ、巨匠じゃなくたって怒るわいww ここまで雑多な尾ヒレ付け足されちまったら、もはや、このSFサスペンス映画を“あえて“『芝刈り機の男』と題する必然性がどこに残ってるか??? ってことだもんね。