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桜田門外ノ変のNMのレビュー・感想・評価

桜田門外ノ変(2010年製作の映画)
3.0
始めに、
主役・関を中心に、桜田門外ノ変の
作戦遂行の場面が描かれる。
割とさくさく終了。

それからは、
それに至るまでの思い、
また、その後の各人の最期を
じっくり描く。

この構成はなかなか見やすい。

俳優陣も錚々たる面々。

井伊役・伊武雅刀などは
セリフが殆どないのに凄い存在感。
あのぐんにゃりとした口調一つで
人物像を想像させる。

孫二郎役・柄本明の
それまでの感情が堰を切る場面。

もはやこれまでと覚悟した時の
志士たちの凛とした態度。

それに、関の妻子が、
何も知らされていないが、
関にはきっと考えがあってのことと
ひたすら信じる様子も健気。

関を匿う源二衛門も
挨拶一言で気骨のある人物とわかる。

とにかく真っ直ぐな人物が多い。
心折れる者もいるが、
その気持ちもよくわかる。

暗殺は成功し喜んだものの、
取り締まりは厳しくなり、
仲間が次々と死罪や蟄居となる。
支援する藩もなく、散り散りに。

暗殺は正解だったのですか?
何も変わらないじゃないですか!
とまで言われる関。
井伊の首のために
何人もの犠牲が出したことを悔やむ。

やがて幕府は力を弱め
徐々に世が変革していくが、
残る最後の一人となった関は
孤独や無力を感じる……。

はじめよりも、終わりにかけて
深みが出て面白くなってくる。

劇伴もさり気なく、
ハープや木管などで優しい音色。
ラストの行進の音楽は
不思議な和洋折衷で興味深かった。
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