◆あらすじ◆
CBSの人気報道番組「60Minutes」プロデューサーのバーグマンのもとに匿名の書類が届けられる。それはタバコメーカーの不正を告発する極秘ファイルだった。バーグマンはタバコメーカーの元副社長の科学者のジェフリー・ワイガンドに極秘ファイルについて説明を求めるインタビューを実行しようとするが...。
◆感想◆
実話に基づいた作品であり、タバコの有害性を明らかにしようとしたテレビ番組のプロデューサーと元タバコメーカーの科学者に多くの困難が立ち塞がるストーリーとなっており、タバコの有害性が明らかでなかった当時のタバコ産業の利益重視の隠蔽体質の怖さとそれに翻弄される2人が活路を開こうとする懸命の戦いが心に突き刺さるものになっていました。
報道番組プロデューサーのローウェル・バーグマン(アル・パチーノ)はジャーナリストとして誇りを持っており、いかなる場面でも誠実に報道しようとする姿に感情移入できました。バーグマンはタバコ産業の闇についてジェフリー・ワイガンド(ラッセル・クロウ)にインタビューすることで明らかにしようとしますが、そこにタバコメーカーの守秘義務や圧力が立ち塞がります。
ジェフリーはタバコメーカーの副社長でしたが、突如解雇されたことでバーグマンの目に留まります。ジェフリーは守秘義務があると同時に自分の娘の治療のために医療保険を継続する必要があったため、苦悩し続けますが、タバコメーカーの虚偽を放置できないことからインタビューに応じ、裁判の証言にも出ます。彼の苦悩する姿は彼の等身大の姿を感じることができて、心に刺さりました。
そこからタバコメーカーは有形無形を問わず妨害工作を行い、ジェフリー一家は離散することとなり、バーグマンもインタビューを放送できなくなります。ジェフリーがかなり悲惨な目に遭っていて、その上にインタビューも放送されないとなり、何のために命を削って行ったのか分からなくなる姿は観ていてきつかったです。
ラストはバーグマンの意地を感じられて気持ちが熱くなりました。
利益が絡むと組織というものがいかに凶暴に変わるのかということを実感できるとともに、その闇を暴くべく命を削った人々への敬意を心から思う作品となっていました。かなり重い内容の作品でしたが最後まで緊迫感のある面白い作品でした。
鑑賞日:2025年4月14日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2024年4月1日)