天豆てんまめ

インサイダーの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

インサイダー(1999年製作の映画)
3.9
マイケル・マン監督×アル・パチーノ×ラッセル・クロウ。

静かなる闘志が湧き上がるような骨太な人間ドラマの傑作。

実際あった事件の記事を映画化で番組名、告発される企業名、プロデューサー名、みんな実名。そんなの良く作れたな!

虚実皮膜のギリギリのサスペンス感に溢れている。

アル・パチーノは人気報道番組のプロデューサー。真実を追い求める闘志の塊でエネルギッシュ、しかし思いやりもある味のある男を演じている。


ジャーナリズム魂で突き進む前半から、命を懸けた告発者=ラッセル・クロウとの熱き信頼で後半、突き動かされていく。

しかし、この映画で凄まじいのはむしろラッセル・クロウだ。

ラッセル・クロウは20Kg体重を増やし白髪でしかも抜いて薄くして、元グラディエーターとは思えないいで立ち。

たばこ企業の役員であった彼がニコチン中毒に関する極秘情報の内部告発者となることで激動に巻き込まれる男を演じて、見事。

彼はアルパチーノのジャーナリスト魂に動かされたのだが、代償大きく様々な脅迫や嫌がらせを受け、家族共々ボロボロになっていく。

自滅して当然と思うほどまで極限状況に置かれた平凡な中年男が、もう一度立ち上がり、圧力に屈することなく闘い抜く姿は胸揺さぶられる。

やっぱり、彼はこの映画でも不屈のグラディエーターだった。

マイケル・マンの陰影豊かなスタイリッシュな映像と重厚な人間ドラマがかみ合い、当時、数多くの映画賞を獲得した。

一級の社会派サスペンスドラマとして一見の価値ある作品だと思う。