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インサイダーのtjZeroのレビュー・感想・評価

インサイダー(1999年製作の映画)
3.5
報道番組の制作者ローウェル(アル・パチーノ)は、大手タバコ会社を解雇された元副社長のワイガンド(ラッセル・クロウ)から証言を引き出し、巨大産業の不正を暴こうとするが、各方面から妨害が入り、苦境に立たされる…。

マイケル・マン監督作の印象は、骨太で肩に力入りまくり。

観る方も腹に力入れて踏んばる必要あるけど、その分、重厚感というか、見応えはたっぷり。

本作は『ヒート』みたいに銃弾が飛び交う訳でもなく、基本、登場人物たちが電話かけまくってるだけなんだけど、風景とか役者のシルエットの切りとり方がスタイリッシュだし、俳優たちの静かな炎が燃え続けているような演技の引き出し方も魅力的。

なにより、”画”にチカラがあるから、長時間でも飽きさせない。
象徴的なのは、ワイガンドの証言がようやくオンエアされた後、彼の娘がチラッと父の方を見やるシーン。
あの表情一発で、ワイガンドの苦労が報われた様子が静かに、たしかに伝わる。
ハードボイルドに貫かれた作中で唯一のホッとさせられる瞬間。アスファルトの谷間に咲いた可憐な花を見るようだった。
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