チッコーネ

片腕サイボーグのチッコーネのレビュー・感想・評価

片腕サイボーグ(1986年製作の映画)
4.0
『ターミネーター』など本流のハリウッド作には興味なしで未見、イタリア映画の本作は「音楽がシモネッティなのか…」という程度の興味で観賞、ゆえに思いのほか楽しめた。
いくつかのセットや美術に低予算は感じられるものの、追われる者と追う2陣営を交錯させる編集、飽きさせない。
主要舞台は荒涼としたアリゾナ、マカロニ・ウェスタンの演出が現代劇に置換されているほか、公開当時の先端・サイバーパンクのエッセンスもベースにひと振り。
鉄橋上で繰り広げられるトラック/ヘリコプターの追跡アクション劇に、予算の多くが投入されている。
クライマックスにはおかしなビニールパンツを履いた、キャラ立ち鮮やかな女サイボーグも登場、主人公との格闘場面では、イタリアン・ホラーが蓄積した特殊技術も発揮。
加えて「こう来たか」と唸らされるラストも渋い。

あからさまにシュワルツェネッガーのエピゴーネンであるダニエル・グリーンは米俳優。
すごいマッチョで逆さ吊りの拷問を受ける姿がエロいのだが、本作においてはヒロインを演じたジャネット・アグレンの「シャロン・ストーンとシャーリー・マクレーンを足して二で割ったような美」に目を奪われる…、BAR営業前の飾らぬジーンズ姿から、ストラップレスビスチェのディスコ姐御風に変貌するスタイリングも良い。
ジョン・サクソンは悪の親玉役、「欧州の殺し屋」を演じたクラウディオ・カッシネリは、本作の撮影中にヘリコプター事故で亡くなったのだとか。
シモネッティの音楽は『デモンズ』系統のブレイクビーツ、Falcoあたりのユーロディスコとも親和性あり。
総じて前時代のユーロトラッシュより100倍面白い、適度に下世話な娯楽作。