うめ

ダイナマイトどんどんのうめのレビュー・感想・評価

ダイナマイトどんどん(1978年製作の映画)
3.8
 今年は邦画をあまり観なかったなぁと思い、今作を鑑賞。火野葦平の連作小説「新遊侠伝」を岡本喜八が映画化した作品。1950年、米軍占領下の小倉を舞台に、昔気質のやくざ岡源組と新興やくざ橋伝組の抗争を「民主的に」解決するために、野球するやくざ達の姿を描いたコメディ。(ちなみにタイトルは野球チーム「岡源ダイナマイト」の掛け声から来ています。)

 トラック野郎シリーズでお馴染みの菅原文太が主役・岡源組の加助を演じているということで気になって観たのだが…これが面白い!文ちゃん、相変わらずです。トラック野郎の星桃次郎のように、所構わず暴れ回ったかと思いきや、馴染みの居酒屋の女将・お仙を真面目に心配したり、お仙の元夫・銀次にどすを利かせたり…色んな表情を見せてくれます。また文ちゃん筆頭に他のやくざ達も暴れ回るからさらに面白い。菅原文太以外のキャストたちの演技も見どころだろう。

 そして何より演出の上手さ!岡本喜八の作品は今までちゃんと観たことがなかったので、「こんな演出をするか!」と驚いた。まずテンポがとても良い。今回はコメディなので、一つの場面のそれぞれのカットがしっかりその場面のオチにつながるように計算されているのがよくわかる。オチ=見せ場を所々にちゃんと置いている。それと同時にシーンごとの緩急が素晴らしい。コミカルに見せる部分はオチに向けてぱぱっと素早く、加助と銀次の喧嘩といった観客にじっくり観てもらうシーンは細かい画面転換なく撮られている。(テンポの良さなんかは、市川崑を思い出しました。)私が一番好きだったのは、やはり冒頭のシーン。原っぱで野球をしていた少年がピッチャーとしてボールを、加助が橋伝組のやくざ目がけてダイナマイトを同時に投げる。審判がホームランと叫んだ瞬間、加助のダイナマイトがトラックに当たって爆発したところで、タイトル「ダイナマイトどんどん」がどーんと登場…この冒頭だけでも観て頂きたい。今作のテーマであるやくざと野球がうまく表現されている。

 こうした演出だけでなく、昔気質対新興勢力の争い、大勢のやくざが入り乱れる喧嘩、野球の決勝戦の結末といったストーリーからもなんとなくだが、岡本喜八の意図を感じられる。この辺りはこれからもっと岡本喜八の作品を観ないと断言できないだろう。いやいや、また観たいと思う監督さんが増えて嬉しい限りだ。

 しかし、こういう作品を観てわくわくする自分はやっぱり日本人だなぁと自覚させられます(笑)やくざ抗争、男と女の関係、男の不器用さ等々、笑いながらも何故か親しみを感じます。あ、方言も良かったですね〜。四国や九州の方言、いいです。


 ちなみに、監督も端役で出演しています。是非、見つけて下さい。