岡本喜八監督によるドタバタコメディ任侠映画。キャストは菅原文太、北大路欣也、フランキー堺などなど
昭和25年、戦後間もない北九州で、ヤクザの抗争が激化していた。しかし、戦勝国のアメリカに見習い、民主主義的なやり方で全面戦争が行われようとしていた。その方法は、なんと野球!12の闇組織が野球チームを組み、トーナメントでしのぎを削るのだ。反則紛いのラフプレーが横行するなか、血で血を洗うプレーボールが斬っておろされた。
「仁義なき戦い」のメンツが勢ぞろいしている。それプラス喜八組ともいえるキャストの面々も合流して本当にキャストは豪勢でしたね。
今回の菅原文太は、仁義なきとは大違いでとてもコミカルで豪快なキャラクターであった。そこがある種の新鮮味を感じた。
他のキャラクターも喜八イズム漂う戯画化されたような構成でもあるが、それを喜八的な細かいカットを重ねたダイナミズム溢れる撮影方法で見事に違和感なくさせている。そこが喜八の魅力。
しかし、途中の殴り込みのシーンはちょっとばかり冗長だったような気がしなくもない。乱闘シーンのダイナミズムは残念ながら深作さんと比べてしまうとちょっと劣るのが残念なのですよね。
その代わり、喜八さんの乱闘シーンは、逆に祭りの締めのような華やかさを持っている。深作さんが血の気と殺気の漂うワイルドさの溢れる乱闘なら、喜八さんはもうすべてがどうでもよくなるほどに豪快で愉快な感じ。その一番の締めを映画の最後で見せてくれるため、そこは本当に素晴らしい。
今までのちょっと冗長だと思えた展開も、全て許せるようなとんでもない大乱闘ぷりが最後に見られるため、それだけでも良かったと思います。もはや野球ではないわ(笑)
田中邦衛がピッチャーを演じていますが、投球フォームはほとんど漫画的なフォームながらも綺麗に投げられていて凄いと思いました。あの間抜け面からあんな綺麗なフォームで投げられるとちょっとそのギャップで笑いがこみあげました。
喜八的なダイナミズムに溢れるコメディ映画であったと思います。中盤だれると思いますが、終盤に行くにつれてカオスになっていくところが本当に面白かったです。
最後の乱闘シーンにスタンハンセンの入場曲を合わせればもっと盛り上がるかも。