ミーハー女子大生

フォレスト・ガンプ/一期一会のミーハー女子大生のレビュー・感想・評価

4.6
ハンディキャップを背負っていても、一所懸命に、まっすぐ、ひたむきに生きてゆく主人公ガンプ。
そんな生き方が、彼に多くの豊かな実りをもたらしてゆくという、観ていて気持ちのよい、そしてホロリとさせてくれる作品です。

ちょっとしたファンタジーっぽいと感じたのは自分だけでしょうか?
それほど、何をやっても上手くいくガンプ。
一所懸命、まっすぐ、ひたむき、と彼の生き方を書きましたが、はっきり言えば彼にはそんな生き方しか出来ません。
他の生き方なんて出来ないんですよね、彼には。

それは、ハンディキャップを背負っていることが、逆に、彼にとってはプラスに作用しているんだと思います。
自分の利害の損得を考えて生きてゆくのが自分達のような人間ですが、彼にはそんな思いはなく、だからこそ湯水のように幸運が彼に注がれるのでしょう。
だからといって、ハンディキャップを負ってるのがいいことなのか、なんてことは全くの間違いです。

ガンプは停留所でバスを待つ人を相手に自らの半生を振り返ります。
この話が、作品の物語となるわけですが、これがとてつもない壮大な半生。
たぶん、自分が停留所でバスを待ちながら話を聞く立場だったとしたら、この話をにわかには信じないでしょう。
壮大なホラ話として一笑に付すると思います。

1950年代から1980年代のまさに激動のアメリカの時代と共に歩んできた、これまた激動の人生・・・なんですが、ガンプにはそんな気負いはありません。
ただ、こうしたら、こうなった。
その時、こう考えたら、こうなった。
選択の迷いがありません。
羨ましいですよね。

ただ、苦悩はあります。
友人ババの死、ダン中尉からの痛罵、そして何より幼なじみのジェニーを想う時の苦悩。
時代の流れを縦軸にするならば、これらの人間関係を横軸に例えることが出来ます。
それらが複雑に絡み合って、でも、当のガンプ自身はそれでも自分に忠実に生きてゆきます。
そんな彼に感化されて周りの人間も何か温かなものを受け取ってゆく過程は微笑ましいです。
私は特にダン中尉がガンプとの触れ合いから生きることの素晴らしさを再認識する過程が大好きです。

そして最愛の人、ジェニー。
どんなことでも成功し、富も名声も手に入れたガンプ。
それでも満たされない心の空白。
彼が欲しいのは富や名声でなく、たった一人の女性でした。
なんでもあるけど、肝心なものがない。
自分達だって、そういう想いを感じたこと、ありますよね。

ガンプは、一生涯でただ一人の女性を愛します。
素晴らしいというか、そんなの奇跡に近いですよね。
そして、その人と共に人生を歩んでゆこうとしたら・・・。
・・・人生ままならないなぁ。
ラスト近くのジェニーの墓前でのフォレストの独白シーン、切なすぎです。

ガンプの母親のセリフ、「人生はチョコレートの箱のようなもの、開けてみなければ分からない」 。
甘いチョコもあれば、すんげぇ苦いチョコもあります。
柔らかいチョコもあれば、すんげぇ固いチョコもあります。
色んな人生のチョコがありますよね。
それでも、ひとつひとつのチョコがかけがえのない人生。
箱の大小にかかわらず、ひとつひとつのチョコを抱えて、人生をひたむきに生きてゆきたいな・・・。
それぞれの、大切でかけがえのないものを持って、自分の道を歩んでゆきたいですね。

あのフォレストの元にやって来て、また飛び去って行く「羽」は何を意味し、何を象徴しているんでしょうね・・・。
神がガンプに与えた幸運の羽?
おそらく、観た人、それぞれに答えがあるんでしょうね。

個人的にツボにハマったのはコンピュータ会社である「アップル」をガンプがフルーツ会社と勘違いしてたことでした。
MAC愛好者の自分にとっては微笑みたくなるナイスなボケでした(笑)。

自分だけで、観る映画を選んでゆくのは、どう気をつけてても偏りがちになってしまいます。
それを打破してくれるのは、みなさんのレビュー。
ちょっとしたきっかけでレビューを読んで、「この作品、観てみようかな」と思えるのはとてもラッキー。
自分のレビューも、誰かの心を少し動かして、その人にとって素敵な作品に出会えるようになればいいなと思います。
そ、何事も「一期一会」。
そんな出会いを大切にしてゆきたいですね。