HicK

フォレスト・ガンプ/一期一会のHicKのレビュー・感想・評価

4.5
《太陽のようなフォレストと照らされる仲間たち。素敵なファンタジー》

【好きな世界観】
ドラマ性、コメディー、ファンタジー、リアリズムのバランスがとても良くて、フィクションとしての不思議な雰囲気に包まれた作品。フォレストは一種のアニメキャラのような極端化された設定だが、それにツッコミたいどころか、周りの人物を映し出す光のような存在になっていた気がする。

【トム・ハンクス】
カッコいい。役柄と相まって可愛らしさも。演技のさじ加減が難しい役どころだが全然嫌味がなく、まっすぐさや健気さが伝わってくる。アカデミー主演男優賞も納得。

【特にジェニーが切ない】
いつも救っていた存在がいつの間にか自分を救おうとしている存在に。それを受け入れらず「自分はまだそんなに落ちていない」と言うかのように強さが邪魔をしている。そこから少し思いが変わり「大切な人を自分に関わらせるわけにはいかない」とシフトしていく様子に彼女の葛藤や優しさが伝わってきた。

【史実と絡めた展開】
一歩間違えれば滑稽に感じる要因にもなっていたが、本作は史実と絡める事を「どうぞ笑ってください」と言っているかのように面白さを加え、「もしこういう人がこんな感じに歴史と絡んでいたら面白いよね」とゆるさを持って描いているので楽しかった。フォレストの欲の無さも相まって良い演出。

【総括】
映画「ワンダー」(2018)のセリフを思い出した。ワンダーと同じようにフォレストを"太陽"としてその周りをジェニーやテイラー中佐が惑星としてグルグル回っている。結果、みんなが彼に照らされている。そんな関係性や雰囲気が心地よく、トム・ハンクスとロバート・ゼメキス監督が生み出す温かさが好きだった。
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