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フォレスト・ガンプ/一期一会のabeeのレビュー・感想・評価

3.8
【フォレスト・ガンプの人生を通してみるアメリカ政治とカルチャーの歴史】

記憶の中では何回か観てるんですけど、ちゃんとフルで観たことがない気がして今回観たのですがやっぱり観てました。

人よりも知能が低く、体も歪んで生まれたフォレスト。人から好奇の目で見られていた彼に初めて優しく声をかけてくれたのはこの先一生思い続けることになる少女、ジェニーだった。

この作品は大きく二部に分かれていて、一部はバスを待つフォレストがゆきずりの人々に語る自分の人生。二部はバスの行き先でフォレストを待つ人との再会。
個人的には一部と二部の落差が激しいのです。

一部のストーリーの作り方は最高です。実際の映像を使用してフォレストを歴史の中にうまく紛れ込ませ、アメリカの歴史を学べます。
プレスリーの登場、ベトナム戦争、ケネディ暗殺、ウォーターゲート事件、ジョン・レノン暗殺など様々な偉人が登場する楽しさ。

一方でジェニーの人生はアメリカのサブカルチャーとともに歩む人生。虐待からのトレーラー生活、ストリッパーからのヒッピー、学生運動、ドラッグ。
この2人の人生を通してアメリカの歴史が描いてあるのです。

そしてママの格言の数々が沁みるのですね。フォレストに分かるように話すママの言葉はシンプルな例えなのに真に的を得ているので記憶に非常に残る言葉が多いです。

この物語の主人公、フォレストはとてもヒーローらしくないキャラクターですね。彼は終始流されて生きているのです。自分で何かを決断して行動を起こすシーンは何一つ無いのです。
そんなトントン拍子な人生が楽しいのがこの作品の魅力。
それ故、することが無くなってしまったフォレストはジェニーの言葉通り、走ることしかできなかったのでしょう。

一部は楽しい。それは間違いない。
しかし二部からの展開はちょっとあまりにも流されすぎだし、ジェニーには物申さざるを得ないです。真実を語るタイミングが悪すぎますよね。あれでは最後どうしても感動できない。

しかし、最後のスクールバスのシーンで全てどうでも良くなるのです。フォレストの初登校のシーンと被せることで綺麗に纏まっていて二部での急落は全て無かったことに。

ということで、個人的には感動作というより娯楽作品のイメージが強いです。
アメリカの情勢に流されながらもおバカさん故何も考えず飄々と生きるフォレストの姿に癒される、そんな作品です。
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