螢

フォレスト・ガンプ/一期一会の螢のレビュー・感想・評価

3.8
「人生はチョコレートの箱とおんなじ。開けてみるまでわからない」

数奇な人生を歩む一人の男性の軌跡とアメリカ現代史の重大事件をいくつも絡めた構成ゆえに、かなりありえない設定や展開が続くのだけど、それでも泣いて、そして、満たされた気持ちになれた名作。

人より知能指数が低かったフォレスト。
でも彼の母親はいつでも彼の味方で、彼を諭してくれる。
そのおかげもあり、彼は馬鹿正直なほど一途で誠実な大人に成長し、図らずも自分の人生を切り拓いていく。

なのに、どうしてもうまくいかなかったのが、幼少期から一途に大切に思っていた女性ジェニーとの関係。
ジェニーは幼少期の経験が原因なのか、放浪と転落を繰り返す荒んだ人生を送っていた。
けれど…。

1950〜80年代のアメリカ現代史の重要事象とフォレストの人生の軌跡を絡めているため、ベトナム戦争に従軍したり、卓球を通じて社会主義全盛期の中国に行ったり、預かり知らぬところでウォーターゲート事件に関わっていたり、プレスリー、J・レノン、ケネディ、ニクソンといった時代ごとの著名人との接触があったり、と展開はかなり奇抜なのに、健気なフォレストを演じ切ったトム・ハンクスの好演もあって、そんなに突っ込まずに楽しく、そして、しみじみと観られます。

関わった人を貶めたり傷つけたりせず、大事にし、自身の欲に走らないためか、運もひらけていくというか呼び込んでいる感じで。

彼の人生の軸だったジェニーとの関係は、その一途さが実って、最後にはよかったなと思うと同時に、しんみり悲しくもなり。

人生において、一番大事なものを手元に置いておける時間なんて、本当に短いのかもしれない…。
無常の摂理を感じさせるシーンです。

小学生の時にテレビで見た時は特別に思うことはなかった作品だったのだけど、20年経って改めて鑑賞すると、本当に胸に染みたました。
経験によって感性は変わるということを改めて実感。
また10年後くらいに見直したいです。

「ぼくらにはみんな運命があるのか、ただ風に吹かれてただよっているだけなのか、分からない」
螢