まっつん

スパイダーマン2のまっつんのレビュー・感想・評価

スパイダーマン2(2004年製作の映画)
5.0
えー最近なんとなく忙しかったりしましてね。新作映画を観に行けていない!どころか旧作もそんなに観れていない!という地獄のような状況が続いているまっつん。まだ感想を書いていない新作映画も数作あるんですが、ほらさ….新作だとなんか色々真面目に書きたくなっちゃうから、それはそれでダリィじゃないですか。だから今回は好きな映画のレビューを書くぞ!年に4回は見直す(俺的)歴史的名作の一本、スパイダーマン2だっ!

これはねぇ、ほんとにいい映画ですよ。感想書くって言ってんのに、この一行で終わりにしちゃいたいぐらい。マジでいい映画なんですよ。やっぱ「スーパーヒーロー映画」の基本、そしてスタン・リーとジャック・カービーがスパイダーマンに込めた思いが全て入っていると思うのです。彼らがスパイダーマンに託した思い。それはスパイダーマンことピーター・パーカーはどこまで行っても、やはり「親愛なる隣人」であるということなんですよね。大軍勢が右と左からワーッ!って言って走って来て、ドカーン!ってぶつかり合う映画の「大勢のひとり」ではないわけ!

マーベルコミックスのヒーロー達は基本的には「エリア主義」という考え方を採用しているんですね。舞台は原則ニューヨーク!理由は単純、マーベルの本社があるから!そして、ヒーロー達はニューヨークの一区画を守るローカルな存在であるわけですよ。キャップはブルックリンだし、デアデビルはヘルズキッチン、そしてスパイダーマンはクイーンズなのです。普段は地元で人命救助をする「おらが街のヒーロー」がたまに宇宙とかに出張して悪いやつと戦ったりするわけで、本質的には超ローカルな人達なんですよ。ヒーローというのは。

本作はこの「おらが街のヒーロー」としてのスパイダーマンが完璧に描かれているではないか!あの涙無しでは観れない電車のシーンですよ。ドックオクが電車のレバーをポキッと折ってしまいブレーキが効かない!このままでは乗客もろとも海にドボンだ!ここでスパイダーマンは「ニューヨークの市井の人々」を文字通りその背中に背負うわけです。自らの身を投げ出し電車を止めるスパイダーマン。そして、そこで終わらないのが素晴らしい。素顔を晒し、持てる力の全てを使い果たしたスパイダーマンを今度は市井の人々が救うわけです。「大丈夫、誰にも言わないから」と。そして再び現れ、スパイダーマンを連れ去ろうとするドックオクを前にして、乗客達はこんなことを言う。「その前に俺が相手になる」。「俺もだ」。「私も」。この感動ですよ。これこそがヒーロー映画の醍醐味ではなかろうか?昨今のバカでかいスケールのヒーロー大戦もいいのですが、やはり僕はここにこそヒーロー映画を観る楽しみがあると思うのです。もう十何年間泣きっぱなしですよ。

そして、「暗い青春」を描いた作品としても超優秀なんですよね。ヒーローとして活躍しているにも関わらず、ピーター・パーカーになるとピザの配達もまともに出来ない。挙げ句の果てにはクビ。そして、MJともうまくいかない。そうした私生活のアレコレがヒーロー活動にも支障をきたしてしまう。手首からドピュッと吹き出す白い糸が出なくなる….お分かりの通り射精のメタファーであると。親しい女の子がいるだけマシじゃないか!」と言われる気持ちも分からなくはないですが、どうしたって満たされることがないピーターの青春。やはりこれはかなり暗い話ですよ。

そしてドックオクもいい!実験の失敗でアームと共に闇堕ちしたおっさんですけども、これも終盤ほんの少しだけ残った善意で自分のケツを拭くじゃないですか。「怪物のままでは死ねない…!」なんて言って、核融合装置と共に海に沈んでいくドックオク。ここでもまた泣いてるわけですよ、僕は。だからね、今度のノーウェイホームで別次元のポータルが開いた!なんて言って軽々しくアルフレッド・モリーナのドックオクを復活なんかさせて欲しくないのよ俺は!別の役者ならいいよ!でも、僕にとってアルフレッド・モリーナのドックオクは特別なわけ!海に沈むドックオクを涙ながらに観続けてきた僕としては、なんとも居心地の悪い話ですよ。

そして、もう一点本作の泣き所としてはですね、メイおばさんが銀行に行くシーンですね。メイおばさんってのは本当に良い人で、特にライミ版のメイおばさんは僕大好きなんですよ。そんなメイおばさんがですよ、わざわざ銀行に出向いて行ったのにも関わらず家のローン審査には通らない。挙げ句の果てトースターも貰えない(バックの中から切り抜いた広告を出すあたりがまた...)。僕自身、生粋のおばあちゃん子っていうこともあって、映画に出て来るおばあちゃんが可哀想な目に遭うのは耐えられないのです。これはもう泣くしかないですよ。なんて酷いことをするんだ!と。銀行の連中ってのは何故こんなにいけ好かない奴ばかりなんだ!メイおばさんが可哀想だろ!書きながらあのシーンを思い出して泣いてますよ僕は。急に思い出したけど、一作目でマナーをちょっと注意されたぐらいでメイおばさんを脅かして入院までさせたグリーンゴブリン!ノーマン・オズボーンの野郎!あいつも許せん!あんな奴は死んで当然だ!

ということでですね、「お年寄りには優しくしよう」という清く正しい気持ちまで芽生えて来るホントに素晴らしい映画です。書いてる間にもまた観たくなってきたな。来週あたり観ると思います。