YukiSano

スパイダーマン2のYukiSanoのレビュー・感想・評価

スパイダーマン2(2004年製作の映画)
4.9
「正義だけが道なのか?」

「偽ることは愛なのか?」

「運命でさえ敵なのか?」

公開当時のキャッチコピー。
あんまり一作目に乗れなかった自分は、期待せずに暇潰しで行った。

すると人生で最も主人公にシンクロ率200%くらいで共感してしまい、魂が震えて立てなかったレベルに達する。

23歳で仕事も恋も夢も何も上手く行ってなかった一人の青年の青春に電撃が走るほどの衝撃を与えた作品。もはや自分のことにしか感じないほどに感動し、一挙手一投足が自分の手足のように感じた。ピーターが覚醒した時、魂が一緒に叫んだのをよく覚えている。

映画とは人の人生を変える力があるとは本当のことだ。ぼくはこの作品を観るまで世のため人のためなんて考えたこともなかった。だけど、世の中にはスパイダーマンくらい頑張ってる人がいる、そう思うとゴミ拾いやボランティアをたまにするようになってしまった。今思えばそこから色々な人と出逢い、人生は変わって行った。あの時、好きだった女性とは想いを遂げられなかったけど、スパイダーマンに示してもらった人生は、稼ぎも少ないし、報われない時も多いけど、沢山の人の笑顔に囲まれて幸せだ。

迷った時はベン叔父さんの言葉を思い出す。

辛い時はメイ叔母さんの励ましを胸に込める。

どんなに打ちのめされても立ち上がるピーターはロッキーとはまた違って悩んで迷って投げ出そうとする。自分の人生を生きたいと。

困ってる人を助けず、見てみぬふりする時の胸の傷みを体現して、助けられなかった後悔をいつまでも背負い続ける。

この作品はあまり言及されていないが、一作目公開当時に起きた911で傷ついたニューヨーク市民に向けて作られていると確信している。

あの時、傷ついた市民、夢を失った子ども、助けることが出来なかった痛みを知る全ての人へのメッセージ。

それが電車のシーンに詰まっている。

全ての力が戻った主人公を助けるのは、助けられた市民。スーパーパワーではなく、誰もが持つ心の力。

ピーターの理想であり目指すべき存在だったドックオクは、やがてスパイダーマンが力を別の方向に使った場合の存在として映し出される。憧れから反面教師へ。

そこには愛する人を失って正気を失った男の姿が描かれている。どんなに崇高な理想を持っていても愛を心から失えば、どうなるのか。その答えが糸の出ないスパイダーマンであり、ドックオクだ。でもピーターにはMJがいてくれた。 


自分を偽らない道を選んだピーター。

パートナーと歩む覚悟を決めた男。

あれから15年たって、結婚して子どももいる今なら分かる。これはサム・ライミがかつての自分自身にも向けたエールなのだと。全ての迷える若者と傷ついた人たちへ心からの応援をしている。

それは今もアベンジャーズや、スパイダーバースに受け継がれている。

心から感謝している。いつまでも。