Osamu

魚影の群れのOsamuのレビュー・感想・評価

魚影の群れ(1983年製作の映画)
4.0
ずっしりと来るおもしろさ。相米慎二監督の1983年の作品。

大間のマグロ漁師(緒形拳)、その娘トキコ(夏目雅子)とトキコの恋人シュンスケ(佐藤浩市)の愛憎物語。

天真爛漫な娘を演じる夏目雅子さんが魅力的でヤられてしまう。序盤は夏目雅子さんのアイドル映画の様相。

漁師の仕事を教えてくれと頭をさげるシュンスケ。大間の漁は素人には無理だと拒絶する父。だが、やがて父は自分の船に乗ることを許すようになる。そしてマグロの魚影が…。

ここから漁師になっていくシュンスケの成長の物語が始まるものと思っていたんだけど、そんなシンプルな話ではなかった。

ちょっと拘り過ぎなんじゃないかと思うくらいワンシーン・ワンカットの連続。大好き。別れた奥さん(十朱幸代)を漁師が雨の中追いかけるシーンが特に好き。

それからマグロとの格闘シーン。漁師もマグロも疲労困憊、最後の一絞りの気迫。

物語の方は中盤以降、何かが狂ってくる。人が人とすれ違い、漁師という生業ともすれ違ってしまったのではないか。

終わってみると、序盤のトキコの天真爛漫さが裏返って見えてしまう。哀しい。この映画、好きだな。
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