ぱいじ

ゴジラのぱいじのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
4.6
たぶん言い古されてる表現だけど、時代性を考えると全てが凄い。その方面の知識に関してはてんで素人だけど、たとえば特撮技術が当時の水準で考えればずば抜けて秀でていたというのは、調べるまでもなく観れば想像がついた。社会問題のテーマや構成の無駄のなさも一流な上、重厚な内容を極めて平易に描けているのが素晴らしい。そして、やっていることが全て普遍的であるが故に、時代性の考慮を抜きにして現代の映画たちと同じ土俵に並べて考えてみても、何ら遜色がない。これは本当に凄いことだ。正直、50年以上前の映画は、名作の呼び声が高いものでも大抵どこかに古臭さ、退屈さを感じてしまうものだが(たとえば『生きる』など)、そんなものは全くない。日本の怪獣映画の原点であり、以降のそのジャンルの全ての作品は本作なしでは有り得なかった、というようなことはよく知られているが、もし、この作品が存在せず、従って怪獣映画が日本で全く発展しなかったとしよう。その場合、現代に本作を発表しても、余裕で通用するだろう。そんな作品はそうは無い。繰り返しになるが、①圧倒的な普遍性を持っており、さらに、②極めて高い完成度を誇っているのである。もっと言えば、③おそらくこのジャンルのスタンダードをやり尽くしており、王道中の王道なのである。このような評価も定番中の定番のようだが、「元祖にして至高」なのである。後続作品は一切見ていないが、断言できる。怪獣を登場させる物語で、(特撮・音響等の技術的な部分ではなく)内容的に本作以上のクオリティのある作品というのは、ちょっと想像できないからだ。それは、上述の③が理由であろう。ゴジラシリーズは本作だけ抑えればいいとか、シリーズの中で本作は別格だとかいう意見はネットでよく見るが、まあ、おそらく本当なのだろう。

さて、本作の現代版リメイクと言っても差し支え無い(らしい)シン・ゴジラ。本作と比べながら鑑賞してみたくなってきた。