このレビューはネタバレを含みます
この惑星で最も有名な怪獣。映画界のレジェンドで破壊神にして怪獣の王、「広辞苑」にもその名が載りハリウッドのウォーク・オブ・フェイムにもその名が刻まれるなどあらゆる名声を欲しいがままにする水爆大怪獣ゴジラ先生の処女作。
子供の頃にビデオテープで観て以来、20年ぶりくらいに本作を鑑賞。今はソフトだけじゃなく配信サービスなどでも、ほとんどのゴジラ作品の視聴が容易なため良い時代になったと思う。改めて観てみると「シン・ゴジラ」は初代ゴジラの現代版だったんだと認識。
本作のレビューを書くにあたり、過去の自分のシンゴジのレビューを参照しようと思ったら、そもそも書いてなかったことに気づいた。 あれ、記憶が…
小笠原諸島近海で貨物船や漁船が相次いで消息を絶つ。漁師たちの間ではそれが大戸島に伝わる海の怪物「呉爾羅(ゴジラ)」の仕業ではないかと噂される。その夜、大戸島に暴風雨の中巨大な何かが島に上陸し、家屋や島民に甚大が被害を与える。
現地を訪れた調査団は謎の巨大な足跡に、絶滅したはずの三葉虫、そして放射能汚染を発見する。その直後、咆哮と共に巨大な生物が姿を現す…
戦争終結からまだ10年もたっていない時期に制作されたモノクロの映画。当時からすでにお馴染みのテーマに咆哮、放射熱線とゴジラたる所以が揃っている。モノクロで映るゴジラが夜の東京を徹底的に焼き尽くす様はとても不気味で、原爆や大空襲の記憶が新しい日本人の恐怖と絶望の象徴となっている。
ゴジラを抹殺するためには「オキシジェン・デストロイヤー」という核兵器に成り代わるかもしれない新たな破壊兵器を使わなければならないという葛藤も描かれ、メッセージ性の強い社会派なテーマになっている。
最後に観たときから大分空いていたため記憶が曖昧だったので、シン・ゴジラみたいにもっと人間ドラマに偏った作品だった気がしていた。中盤は完全にゴジラの独壇場で、人間に直接熱線を放射するなど後のシリーズでもあまりないゴジラの怖さが見られる。
人類の手によって完全にゴジラが抹殺されるのはこの時だけ(旧ハリウッド版の巨大イグアナは例外)だが、「あのゴジラが最後の一匹とは思えない」というセリフがその後の壮大なクロニクルの幕開けを感じさせる。
原点にして頂点っていう表現をよく見るけど、ゴジラ作品はその後何度リブートしてもほとんどが初代ゴジラの続編という意味でも本作を象徴していると思う。
さすがに今観るには古さは否めないかもしれないけど、90分ほどの映画なのでゴジラ作品のどれか一つでもハマった経験のある人には試してもらいたい傑作映画。