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ゴジラのめるのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
4.2
ゴジラ:ビームを出して街を蹴散らし大暴れする大きな恐竜

怪獣映画に興味がなかったからゴジラの知識ゼロで、これが私のゴジラのイメージだった。
水爆実験による産物だったのか。思っていたよりシリアスで重い話だった。

博のお父さん(志村喬)がこちらでも教授で登場。学のある役が似合う俳優さんですよね。
研究熱心すぎてゴジラを殺してはならないとか何とか言っているが「んなこと、言っている場合じゃないだろ!!」と。
研究したい気持ちは分かるよ。でも、あかんだろ。

あの有名な音楽も何度も流れて、ゴジラムード全開になりました。

1954年の映画としては圧倒的なクオリティーで素晴らしかった!冒頭の津波で家が流されるシーンなんかどうやって撮っているんだろうと思えるほど。壊される家のほとんどがミニチュアなんだと思うけど、崩れすぎることを除けば本当によく出来ていてすごかった。白黒なのも相まって粗も目立たない。

ゴジラの方もお人形ぽさや着ぐるみっぽさはありつつも迫力はちゃんとあって、口からビーム(氷かと思っていたら燃えてた。放射能?)も出していてよく出来ていた。ちっちゃな飛行機に攻撃されているときに手がピコピコ動いていたのはなんか可愛かった~!

「さようなら、みなさん、さようなら」
この映画で一番強烈な印象を残した人物でした。
死が目前に迫っていながらも仕事を続けるアナウンサーとカメラマンたち。タイタニックの音楽隊じゃないけど、似たような魂を感じた。
派手じゃないのにこれほどまでに死の恐怖を見せつけられる演出はない。これは映画史に残る名シーンだ。

ゴジラから逃げ惑う人たち。大荷物を持って大移動。軍も出動。
まるで戦争のドキュメンタリーのようにリアルだった。終戦から9年しか経っていないからこそ出せた生々しさなのかもしれない。あそこにいる小さな子ども以外は全員戦争を知っているんだもんな……
それもあって"水爆実験を繰り返してはならない"と"化学兵器を世に広めてはならない"というメッセージを重く受け止めることができました。

芹澤さんはオキシゼンデストロイヤーを生み出したが、それが武器になることを恐れていた。
えみ子、泣いて謝ったからいいってもんじゃないぞ!!女は泣けば許されるみたいな考え方は良くないよ!
芹澤さんがお人好しで心配になりました。芦澤さんは例え資料を燃やしても自分がこの世にいる限りオキシゼンデストロイヤーを武器にしようとする人は消えないと考えたのだろう。私が心配した通りの結末になってしまった……

アインシュタインが核兵器を生み出した結果それが武器になってしまい後悔したのと同じだね。
人間は過ちを繰り返す愚かな生き物だ。欲にまみれた生き物で、自分たちのすることを正当化しようとする。

今後も水爆実験が繰り返されるかもしれない。あらゆる社会問題が提起がされている想像以上に深い映画でした。そして、ゴジラも被害者じゃないかと。

でも、総じて純粋に面白かった!!

そしてある意味では続編を匂わす終わり方になっていて、続編ができたのも納得でした。
ゴジラって親戚多いね!?
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