このレビューはネタバレを含みます
ネトフリ版でどハマりし、映画版を視聴。
⚪︎綱子
どの台詞の読み方も語尾にンッフン……がついてて昭和感漂う色っぽさあってすごい。下駄箱で不倫相手の嫁とやり合ってどうにか下駄箱の中身を見られないように手を叩き合うところ、しんどくなるぐらい怒りの温度感がリアルだった。ああいう女同士の小競り合い1番醜くてしんどいけど、他人の亭主と肉体関係を持っている女vs夫を取られてプライドもズタズタ、寂しさも限界な女だとああなりますわな。まあ、結婚したこともなければ他人の亭主に手を出したこともないから知らんけど。関係ないけど他人の亭主って言い方は西炯子の「姉の結婚」の台詞で読んでから気に入ってる。アツい
⚪︎巻子、鷹男、赤木
巻子、おじょ〜ひんな事勿れ主義the・奥様という感じ。赤木に対して明らかにびびってる感じ情けね〜……と思ったけど、仕方ないのかな。内職のビーズ床に落としてばら撒くところめっちゃ女だと思った。怒りの捌け口を見つけられずに取り敢えず物にあたるけどそのことすら無意識な感じ。家に篭っているが故に世間知らずな主婦の呑気さが、黒木瞳のお上品さと薄ピンク色が似合いそうな天性の雰囲気でうまいこと表現されてたように思う。鷹男に流されて雰囲気で抱かれるところとか、世の中の熟年夫婦はみなこういう感じなんですか?…流石に違うか。鷹男の目つき、スイッチの入り方が絶妙にキモくて、うまい!あと赤木がめちゃくちゃ嫌な首の傾げ方するな〜と思って調べたら木村佳乃で驚いた。小さい声でネッッットリ喋るのも嫌だしンフ…って喋り終えるごとに首傾げるのもめちゃくちゃ嫌だ。嫌だけどその分、いいお芝居ってことなんだろうな。最後、巻子に結婚報告した時はまだマウントが滲み出た表情だったのに、巻子に是非行かせてもらうと言われた瞬間ちょっとだけイラッとした目つきになったのが良かった。巻子の方が一枚上手だったと認めたのか?木村佳乃は選TAXIでも不倫相手の秘書役やってたな!
⚪︎滝子、勝又
深津絵里かわいすぎる。
〜なんでしょッとか〜なんじゃないのォ?みたいな、賢くて強気なんだけどやっぱり不安が滲み出てるみたいな台詞の読み方がすごい良かった。滝子の不安感は勝又によって解消されていくけど、この阿修羅はその過程が割とあっさりしてたかなあ…終盤滝子が咲子のことで自責の念に囚われる時も「思ったからなったんじゃないっすよ!」は良かったけど、その後の「兄弟って、いいっすねッ!」でなんかなあ…それはいらんな…と思った。勝又は口数も少なく不器用な性格だけど、その分周りを意外と見てて、うーんうーんと自分の中でよ〜く考えてからものを言う人物だと思ってる(ここが1番大事)から、余計にこの台詞は出ないんじゃないかな〜と……。松田龍平の力強い「思ったからなったんじゃないよ!」が脳内に音声でばっちり残っちゃってるからってのも、ある。松田龍平大好き
⚪︎咲子、陣内
広瀬すずが圧倒的すぎたのもあって、最初正直深キョンはきつくない?と思ったけど、段々そんなことなくなっていった。でもな〜ラーメンのとこは…「これだけは許せない」が軽い。よくある喧嘩の中で言い放ったぐらいの軽さ。チャンピオンを目指すボクサーと付き合っている女が、生業とするボクシングに真剣に向き合わない彼氏(=将来を真剣に見据えていない男)に怒るテンションとしては軽すぎる。ラーメンの器がガタンってなる音が小さかったのも、シーンが軽くなってしまった原因としてあるかも。終盤陣内の具合が悪くなって気がおかしくなり、万引きをしてしまうところは自然な流れだと思った。ネトフリ版で巻子が万引きするのは流れ的にちょっと無理矢理では…?と感じたので…。(夫の浮気が判明→気がふれる→万引き とはならなくない…という素朴な疑問)滝子とベンチで話すシーンは、本当の意味で仲直りというか、分かり合えないけど、支え合うというところまで辿り着けたんだろうな。姉妹の絆はなんだかんだ言っても強いと思った。台詞の読み方が若者っぽい(語尾の上がり方とか)のが良い場面も多かった。書いてて思ったけど、全体通してあんまり咲子のことを覚えられてないな…。陣内が潰れる試合が端折られていたのはまあ、しんどくなくていいのかな。でも、ネトフリ版の明らかにもう限界状態の陣内をみんなで取り囲み、いけるぞ世界行くぞ!と持ち上げて、すごい熱気の中でリングに上げ、限界状態でも尚フラフラ戦い続ける陣内のシーンは好きで何回か見たのでやや残念な気もした。
テーマ曲が昭和のドラマという感じで良い。