ロアー

氷の接吻のロアーのレビュー・感想・評価

氷の接吻(1999年製作の映画)
2.8
"アイ"を演じるユアン、謎の女を演じるアシュレイ・ジャッド、どちらかのファンで最初からストーリーに期待せずに観たとしても「結局何なのこれ?」と消化不良を起こす類の作品。あの名作「プリシラ」の監督&脚本なのに、どうしてこうなった?

女性がミステリアスで魅力的に描かれてるようで、実は薄っぺらいこの感じ。女の勘で「絶対、この映画の原作者は男だな!」とお察ししたらその通りだった。
ほろ苦い大人のハードボイルドなスパイ小説の雰囲気を出したかった感じはみてとれるものの、それが逆にちょっと白けちゃう。

主人公の"アイ"は、諜報部員と言っても自主的に盗撮と尾行をしているだけなので、完全にストーカー案件。自分の部屋に彼女と同じ煙草やお酒を揃えまくってて怖い!
ユアンという害のなさそうなキャスティングのお陰ででキモい映画にはなってないけど、これ原作では彼女の父親と言ってもおかしくないような、もうちょっと年配の主人公なんじゃないの?
"父に捨てられた娘"と"娘を失った父"という設定があるので、それなら擬似父娘愛的なものとして納得できるし、尾行してる割には派手過ぎる真っ赤なダウンジャケットを着ていたことも納得できる。「メリークリスマス、パパ」と言って人を殺す女に対して、赤いダウン=サンタクロース=パパじゃないかと無理矢理な解釈ができるから。そんな完全にプラトニックな父性愛なら納得できるのに、それにしてはバスタブのシーンに性的な雰囲気が漂ってて「結局何なのこれ?結局何なんだよ〜!!」

そんな今作、最大の見どころは諜報部のサポート役の女性に「お願い」と助けを求めるユアンのパピーアイ。
あんな目で見られたら、そりゃ「その顔に弱いの」ってなります。"迷い犬"と言われたり、”ラッキー”って犬みたいなあだ名で呼ばれたり、サポート部門の女性陣にペットの犬感覚でかわいがられていそうな"アイ"だった。
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