みほみほ

カリスマのみほみほのレビュー・感想・評価

カリスマ(1999年製作の映画)
3.4
🌳2020年64本目🌳

世界観が物凄い独特で奇妙。90年代〜2000年に差し掛かる頃にあった、よく分からないけど、【深そうな】ホラーの一つという印象。 

ホラーと称して色々な問題を乗せられるのはあまり好きではないので、(だったらサスペンスに振り切ったらいい)もっと観やすいと良かったかな。単純に面白さが足らなかったので物足りなく感じた。

深い問題の全体像を、木を巡って起きる人々の行動と形を変えて表現してるのかもしれないが、普通に分かり辛いので、多分ホラー大好きな小学生時代に借りていたら、途中で観るのがしんどくなっていたと思う。(意味分からないのが黒沢清の魅力でもあるんだけどね。)

私は黒沢清の作品に出てくる少し飛んだ役所広司が好きなので、カリスマを観れるのを楽しみにしていたんだけど、共通して狂気は保たれていたものの、後半眠くなってしまったので少し期待外れだった。

相変わらず役所広司の上手いのか下手なのか分からない演技に翻弄されながらも、不自然なところが逆にリアリティがあって、黒沢清の方向性と合わさって人をおちょくるようなヘンテコさと狂気が入り混じるのは面白いところ。役所広司の存在感と黒沢清作品での異質さはやっぱりかなり好き。

木を巡って、それぞれ人の強欲さが垣間見えて狂気の世界でした。淡々と行われているのであまり衝撃はないですが、一部アルカイダみたいなシーンがあって薄気味悪くて怖かった…。


大杉漣、松重豊、田中要次と、今となっては名脇役の方々がズラリ、グロテスクやコワすぎのあいつまで出ていてびっくりしました。

この映画でときめいたシーンが一つ、

『最高だね!
最高のきのこだね!』と笑いキノコを食べてはっちゃける大杉漣でした。

大杉漣って優しいお父さん役が多いけど、結構ホラーだと振り切ったように狂った役を演じてる事が多いので、ファンとしてはかなり笑いました。

うずまきの世界観もおかしい(黒沢清じゃないけど)けど、大杉漣がいるとなんか完成されちゃって、別に意味分かんなくてもいっか!ってなれるのが凄い。

ただ今作はあくまで役所広司を取り巻く人々の争いだったので、難しい事考えてしまって、意味を考えていたら追いつかなくなるので、不完全燃焼でした。

考察とか好きな人は楽しめるかもしれません。

この類のホラーは好みではない事ははっきりしているが、観たかったうちの一つだったので観れた事は本当に良かったです。
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