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丹下左膳 飛燕居合斬りのmitakosamaのレビュー・感想・評価

丹下左膳 飛燕居合斬り(1966年製作の映画)
3.6
五社英雄と錦之助による丹下左膳。初期の五社監督作品だけに本当に展開がスピーディーでこれまた面白い。
錦之助も宮本武蔵を経てイケメンスターから性格俳優へと転身をはかる時期でこれまた脂が乗りきっている。映画界が斜陽になり任侠物にシフトする中、ダークヒーローとしての丹下左膳を再解釈するこの作品はとても価値が合ったのではなかろうか?

相馬藩士の丹下左馬之介は隠密だった親友を斬ったが、その際に藩から裏切られ片目片腕を失うことに。

時が経ち柳生藩に日光東照宮の改修の命が下る。弱小藩の柳生を潰す為の、吉宗の側近・愚楽老人の陰謀だったのだが、柳生の切り札として100萬両の価値の宝を記す「こけ猿の壺」で起死回生に。
しかし愚楽の刺客が柳生を襲う。そこに乞食の少年チョビ安と素浪人・丹下左膳が現れ壺を奪取。
さらに泥棒のお藤(淡路恵子)と与吉(藤岡琢也)が登場。左膳と行動を共に。

壺を巡り、柳生・愚楽・左膳+泥棒の3すくみの争奪戦となる。

「こけ猿の壺」のエピソードなので「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」などのリメイクなのだろうが、だいぶニュアンスが違う。本来の丹下左膳のもつダークヒーローみを遺憾なく発揮した内容だね。

そして錦之助がべらぼうに格好良い。辟椀の殺陣も独特で良いんだよね。そして思いの外、人情味が有るのも愛嬌ある。淡路恵子ら脇を固める俳優陣の個性も活かされていて映画の密度が高い!
凝縮した味わいがある1本!
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