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十七人の忍者のbeachboss114のレビュー・感想・評価

十七人の忍者(1963年製作の映画)
5.0
観る前は「17人って(笑)。そんな中途半端な数字、どこから引っ張り出してきたんだ? そもそもどうやって描き分けするんだよ」と小バカにしていたが、主眼はそこじゃないのよ。

個々にそれなりの見せ場と役割がある17人ではなく、名もなき17人であり、思い出してさえもらえない17人。権力者に都合よく使い捨てされるだけの17人であると同時に、伊賀忍者の最後の生き残りの僅か17人であり、かつ、忍法の一つとしてのトリックの17。

だから、別に16でも23でも良かったわけよ。そこに大した意味はない。語呂とか響きとか、とにかく数字として締まりのないものでさえなければいい。「7人の~」だといかにもありがちで芸がないから、一本足しただけなのかも。

その程度の意味しかないから、話が始まってまだ顔も判別できていない段階で3人4人と、まとまった数でザックザクと景気よく始末されていくんだけど、単に書き手の数合わせで退場させられていくわけではなく、ストーリー上の必然性となっているから、決して無駄死にには見えない。

脚本の池上金男(後の作家・池宮彰一郎)は「組織」を描かせると抜群に巧いから、疲弊し、押し潰され、使い捨てられていく連中の意地や矜持や忸怩や屈託といった「ケッタクソ」が切なく胸に響く。

結局、潜入した忍者が17人か16人か分からないという辺りの駆け引きが肝なので、案外、「忍者は何人じゃ?」っていう昭和の糞ダジャレから始まった企画なのかも。
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