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私は告白するのadeamのレビュー・感想・評価

私は告白する(1953年製作の映画)
2.0
ヒッチコックがユーモアを排して描いたシリアスなサスペンスドラマ。
殺人の告白を受けた神父が自身に容疑がかかり始めるも、真実を話せないジレンマの中でどんどん不利な状況に陥っていく物語で、前作「見知らぬ乗客」や後の「間違えられた男」のように、あらぬ疑いをかけられながらその窮地をいかに脱するかを描くヒッチコック得意のパターンの一つです。
今作においては、告解を他言しないという神父の職業倫理を逆手に取って、殺人の罪を否定できない立場に追い込むという設定がユニークでした。
しかしその一点から豊かなストーリーへと膨らませることはできておらず、中盤の長すぎる回想シーンやその設定上白熱し得ない法廷シーンは語り口としてイマイチでした。
秘密を頑なに守り続ける実直な主人公をモンゴメリー・クリフトは好演していましたが、その心情に大きな変化が起きることなく、考え得る最も安直な結末に至ってしまうのは拍子抜けでした。
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