古い石畳の街並みの暗い路地から始まる
矢印の指し示す方向には、事件があるのです。
I Confess
罪を告白するんです。よく映画に出てくるアレですね。告解です。告白すれば、どんな罪でも赦されるのでしょうか?
冒頭から事件が起きるので我々は犯人を知っています。
その犯人が神父に告白する所から物語は始まるのですが、告白した内容は他者に漏らしてはいけないことになっているため、知ってて知らないフリをしなくちゃならないのがつらい所。
そして登場する女の一言でサスペンスは加速しだすのです。
面白い
しかもこの女、アン・バクスターだ!!『イヴの総て』の印象が強すぎて忘れようにも忘れられない。『赤い河』『女相続人』のモンゴメリー・クリフト演じる神父とアン・バクスター。この二人はなんていうかそのう…
信用できない
ペンキでシミを隠してるとか、これはまたうまいことを言う。罪もペンキで隠してしまえれば、どんなに楽になれただろうか。
信仰心が試される。そこに愛まで絡んでくる。悩める子羊だらけになっているけど大丈夫?後ろめたい秘密まみれの羊たちが、警察という牧羊犬に追いつめられていく。
時に秘密は人を苦しめる。そっとしておいた方がいい秘密だってあるのです。わかる。それは墓場まで持って行きたいのが人情ってものです。人を傷つけてまで明るみにする権利なんて誰にも無いような気がしました。気づけばこの牧羊犬、喉元まで食らいついていた。
夏の終わりの日、あの日、愛は死んだのです。
でも殺しても死なないのが愛。愛ゆえに人は苦しむ。
そこに怯える子羊が牙を剥く。無言の表情に浮かぶ怒り。信仰と真実の狭間で苦悩する一人の男。愛の話なのか、信仰の話なのか、行き来するストーリーの狭間で切り替えにちょっぴり戸惑う私。信仰寄りだ。信仰寄りで行こう。
ハンフリー・ボガート『脅迫者』のポスターが煽る恐怖
十字を背負い丘を登るイエス・キリスト
主よ何処へ行かれるのですか
ドミネ・クォ・ヴァディス
なんてこった。まさかのクライマックスには驚きました。イエスの下でノーと応える神父。世界中を敵に回した階段。そしてあの目。演技が上手いのか、演出が秀逸なのか、恐らくどっちもだ。いやあ、面白かった。
あっ、カメオはもちろん気づきましたよ。
P.S.
DVDについてた特典映像の『ヒッチコックの告白』も面白かった。当時の映倫が許さなかったことが二つあって、そのせいで脚本が変えられたんだそうな。二つ目の変更は私の予想した結末と同じだったので、やはりあそこはそうして欲しかったという思いが未だに燻る。
ヒッチコックの奥さんと同じ名前のアルマさんを演じたドリー・ハスの演技も素晴らしかった。
『間違えられた男』よりも暗い話。ヒッチコック作品の中でも最も暗いんだそうな。
それでいてヒッチコック作品の中で最もロマンチックなシーンもある。
つまり、稀有な作品だと思います。
「下手な映画は会話を撮り、ヒッチコック作品は人の思考を撮る」byモンゴメリー・クリフト