菩薩

男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日の菩薩のレビュー・感想・評価

4.1
シリーズ40作目、マドンナ:三田佳子。

とらや(今作からくるま菓子舗)に新入社員「三平ちゃん」が仲間入り、従業員1名からきちんと社会保険の手続きをするあたり、とらやさんは相当のホワイト企業である事が伺える(朝日印刷は怪しいな…)。ちなみにこの子仕事も出来るし、寅さんの恋路のサポートの方もかなり上手い、出来る奴やで…。

旅先のバス停で偶然出くわした身寄りの無い婆さんを哀れに思い、一宿一飯に預かる寅さん、歳も歳で身体にも相当なガタが来ている婆さんを、翌朝美人女医(未亡人)が迎えに来る、とこれが今作のマドンナ真知子(三田佳子)である。タイトルはご存知俵万智の大ヒット歌集より、劇中にも何編か使用され、お馴染みの「この味がいいね」のパロディも。また島崎藤村の「小諸なる古城のほとり」の小諸が舞台となっており、文学情緒溢れた作品に仕上がっている。テーマ的にも現代にも通じる地方の過疎化、後期高齢化社会(とらやも然り…)、尊厳死(畳の上で死ぬ的なやつ)、そして女性の幸せについての苦悩が描かれており、また寅さんが進学に悩む満男に説く「学び」の重要性については、無学な寅さんだからこそ説得力のある重みのある言葉である。寅さんの恋路の方はいつもの通り、自分は身を引くくせに、また他人だけくっつけて終わる。今作を観る前に20作目の「寅次郎頑張れ!」を観ておくと良い、真知子の姪の由紀(三田寛子)を探しに早稲田大学に足を運ぶ寅さんが、産業革命の講義に入り込んだ際に生徒一同爆笑の渦に巻き込む「ワット君」とは20作目の中村雅俊の役を指すのでむしろ観ないとポカーンとなるかも…。ちなみにその20作目のマドンナは藤村志保、舞台は島崎藤村の小諸、藤村繋がりは偶然か?
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