イランの名匠アッバス・キアロスタミの長編デビュー作。
サッカーにしか興味のないいわゆる問題児の少年がテヘランで行われる試合を見るために、旅費やチケット代を悪知恵を駆使してかき集める物語です。
後の作品では大人によって抑圧され枠にはめられる純真な子どもを描くことの多いキアロスタミですが、今作の少年は悪事まっしぐらで驚きました。
ただそこに罪悪感はほとんど存在せず、唯一終盤の悪夢の内容にそれが表出するのみで、試合を見たいという願望を叶えるためには後先も何も考えが至らない姿はある意味でピュアなのかもしれません。
おそらくはこの先に待つであろう具体的な罰までは描かず、神が与えたような罰で終える幕引きのうまさが素晴らしかったです。
