純粋にサッカーが観たいだけ。その気持ちは分からんでもない。だけど、この子は明日のことしか頭に無い。明後日のことは知らない。いいのかそれで?観てるこっちが罪悪感を感じてしまうほどにもどかしい。
子どもの頃、なんとしてでも叶えたいことがあるけれど、子どもだから叶えられない。どうしようもない。そんな諦めの記憶を呼び起こされたような気がしてなんだか妙に落ち着かない。
アッバス・キアロスタミ監督の初長編作品。そこには『友だちのうちはどこ?』にあるような、観ていて応援したくなるような共感はありませんでした。しかし、主人公の純粋な気持ちはひしひしと伝わってくる。
数多くの子ども向けの作品を手掛けたキアロスタミ監督は、この作品で子どもたちに道徳心を伝えようとしているのではないだろうか。そう思うと、あのラストも、この後味の悪さも妙に納得してしまう。
カメラのレンズの向こう側、純粋な子どもたちのすました顔があまりにもあどけなくて印象的でした。