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こっぴどい猫のslvのレビュー・感想・評価

こっぴどい猫(2012年製作の映画)
3.9
例えばこれが純文学だったら 静かに胸に迫るような 美しい作品にもなりえたところを、そうはいかないぜとばかりに 途中から台無しにしてしまうような、笑えないけど笑うしかない、ほろ苦くも愛しいコメディーに仕立てあげてしまう感じが最高でした。

恋をする人の、単純さ、純粋さ、身勝手さ、滑稽さ、醜さ、痛々しさ、そして愛しさ。
そんな諸々がリアルに描写されていて、おもわずニヤニヤしてしまう。

修羅場的なパーティーの場面、開き直って悪態つきまくるモトさんのキレ芸とも言える演技が実に清々しいほどで、本当に見事だったし面白すぎた!

しかし、最終的には役者としても出演してる今泉監督が一番美味しいところを全て持っていった感…(笑)。

今泉監督の独特の雰囲気、あの絶妙に可愛げのあるキャラクターは最強でした。

エンディングで、小夜を演じた小宮一葉さんがピアノを奏でる姿とそのピアノの音色が本当に神々しいくらいに美しくて、うっとりと聴き入りながら、小夜に心惹かれた男どもの気持ちが凄くわかるような気がしたよ。

鑑賞後、日が経ってからもいろいろと思い返してはじわじわとあとを引くような、そんな妙に心に残る作品だったので、私はかなりお気に入りです。
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