ブタブタ

インクレディブル・ハルクのブタブタのレビュー・感想・評価

インクレディブル・ハルク(2008年製作の映画)
3.0
本国アメリカでのアメコミの状況、情報収集の場としていつも非常にお世話になっている
『visual Bullets―今日もアメコミ三昧―』の記事によるとハルクのリブート、リフレッシュとしてスタートした『IMMORTAL HULK』が売上でBATMANを超える人気を今、博しているとか。
『エンドゲーム』等MCUではすっかりヒーローの一人として当たり障りのない存在になってしまったハルクを今一度「恐怖のモンスター」「絶対的な畏怖の対象」として描く作品で、バナーが死んでも夜になるとハルクになって蘇ってしまう。
あらゆる兵器が通用せず、まともな話しも常識も通じない、現世も冥府も力で捩じ伏せる、更に多重人格者、サイコキラーとしてのハルク、バナー本人にもコントロール不能の他のヒーロー達から見てもヤクネタでしかない厄介者、災厄レベルのモンスター「魔神」としてのハルク。
描写もグロテスクでクローネンバーグの影響も見られるらしい。
ジョシュ・トランク監督が『ファンタスティック・フォー』撮影時にクローネンバーグ映画の影響、病理や精神の奇形的進化としての異能や超能力、よりダークな世界観を持つアメコミ映画の新たな世界の構築を語っていて結果的にそれはMARVEL映画とは相容れず無残な結果として終わるのですが『インクレディブル・ハルク』もエドワード・ノートンは主演だけでなく脚本にも関わっていてノートンが考えていたのもダークな世界観のホラーモンスターとしてのハルクだったとか。
方向性の違いからのちのMCUからは降板したノートンもトランク監督と同じく、よりダークでハードな世界のアメコミ・ヒーローを構想していたのを考えるに、其れを見る事が出来なかったのは残念です。
『ジョーカー』の大ヒットを受けてクロスオーバーに縛られずDCはそれぞれが独立した、より作家性の高い作品がこれから作られるでしょうしMARVELの方でもMCUに属なさない作品として、もし『IMMORTAL HULK』を映画化するならトランク監督がファンタスティック~で実現出来なかったクローネンバーグの影響下、グロテスクでハードでダークなヒーロー映画として映像化してくれたな~とか思うのでした。
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