デニロ

ブラック・コメディ ああ!馬鹿のデニロのレビュー・感想・評価

3.5
東宝の女優さんは脱がないのかと思っていた。『女体』を観た時に団令子がおっぱいを見せていたのが意外だった。それは団令子と監督の恩地日出夫が当時愛人関係だったということが関係しているようだが。本作のヒロイン高橋紀子は、古い東宝映画を観ていると屡々登場していてバタ臭くもかわいい感じでお気に入りにした女優さん。神保町シアターで上映中の「生誕90年記念 昭和の怪優 小沢昭一のすゝめ」のチラシに彼女の名前が載っていたのでいそいそと出掛ける。

小林桂樹が常務、高橋紀子がその部下兼愛人、小沢昭一が総務課主任。『アパートの鍵貸します』のような人間関係の設定。とはいえブラックコメディと称しているだけあって、高橋紀子を巡ってえげつない場面が繰り返される。高橋紀子は魔性の女の役回りで、なんだかイメージが狂うなと思っていたら何とおっぱいまで晒してしまう。監督と何かあったんだろうか、と勝手な想像をしてみるが、そののち寺田農と結婚して引退してしまう。

冒頭のセクハラパワハラレイプは高橋紀子のお誘いかと思っていると、次のシーンでは翌朝有楽町のガード下で茫然自失としている彼女が写される。あれ。次には小林桂樹の愛人に収まり高級アパートに住みいて、そこで知り合った大学生とも関係しやりたい放題。しっとに駆られた小林桂樹に詰られると睡眠薬を飲んで自殺を図ってみせる。若い肢体に釘づけにされたのはわたしだけではありますまい。この後小沢昭一が奇怪な行動をとるのだが、くどいなあと思ってしまう。

が、ラストシーンは何なんだろう。土の中に女の死体が埋まっているという妄想に生きる小沢昭一の作り上げた夢落ちの如くだ。小林桂樹の登場の仕方が謎を深めるばかりです。

1969年製作公開。原作リチャード・スティガー 。脚色監督須川栄三 。
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