すずき

トイ・ストーリー3のすずきのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー3(2010年製作の映画)
5.0
前作から10年後。
アンディは少年から青年へと成長し、実家を出る事となる。
いつか来るであろう「その日」を間近に迎えた彼のオモチャ達は、もう一度アンディに遊んでもらう為に一計を案じる。
だが、アンディはもう子供のオモチャへの興味を失ってしまった。
アンディはウッディ以外のオモチャを屋根裏部屋に仕舞おうとするが、手違いでゴミに出されてしまう。
ショックを受けるバズ達は、寄付用玩具に紛れ込み、保育園へと辿り着く。
オモチャ達の楽園とされるそこは、だが実は偽りのユートピアだった…

かつて劇場で観たのを再鑑賞。
本作品は「トイストーリー2」の10年後に公開された続編。
作品内でも同じ時間が経っており、当時少年少女だった視聴者に突き刺さる内容。
前作で示唆された、いつかアンディも大人になり、確実に別れがやってくる、という事を描いた作品だ。

映像面では「トイ・ストーリー2」と比べると格段にCGの質がレベルアップ。
特に人間キャラが可愛く描けるようになったのは目を見張る進歩。
この作品も10年以上前の作品だけど、違和感はほぼ感じなかった。

エンタメ的にも本作は面白かった。
今作の後半は脱出モノのパロディで、演出がいちいちそれっぽくて笑える。
Mr.ポテトヘッドの、パーツが取り外せる事を活かしたギミックとか、よく練られている。

口汚いオモチャ達のキャラクターは相変わらずで嬉しい。
今作は新キャラのロッツォ・ハグベアが畜生でお気に入り。
ロッツォの過去回想がハード過ぎる!
ビッグベビーとの関係性と、その顛末もイイ。

保育園での、玩具の遊び方を知らない乱暴な年少組の子供達とどう遊ぶか、その問題も根本解決とはいかないまでも、エンドロール映像で妥協点が描かれるのも良かった。

ラスト5分は感涙必至。
「トイ・ストーリー」3部作の物語として、これ以上はないと言える最高の結末。
本作のオチは、ウッディ達がゴミ処理場で見た、モノとしての本当の終着点、つまりは「死」の先延ばし。
物語としての「トイ・ストーリー」はこれで締めくくるのがベストだけど、あえて続編をやらなければいけないなら、彼らの「死」を描いたものでなければならないだろう。
それが面白いかどうかはさておき、それを描く以外に、ウッディとバズのその後を作る意味が見当たらない。
はてさて「トイ・ストーリー4」はどうなるかな。