一夢

トイ・ストーリー3の一夢のレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー3(2010年製作の映画)
4.5
ディズニー版「オトナ帝国の逆襲」的立ち位置の作品。シリーズ初作から匂わせていた、子供はいつかおもちゃで遊ばなくなる、という現実と、1から10年後に作中でも10年を経過させた作品を発表するなど、確実にリアルタイムでシリーズを追っている平成生まれ達の涙腺刺激を視野に入れた名作である。

1では7歳だったアンディ少年も、本作では大学入学を間近にした青年になっており、自身の部屋の整理=おもちゃ達の処分法を決めかねていた。色々な手違いが重なっておもちゃ達は某保育園に寄付されていくが…。

3は一気に時間が飛ぶので、1と2は纏めて観て、3は翌日に観る戦法で挑んだが、10年という月日はやはり長かった…。何なら前作では子犬だった愛犬がヨボヨボになっていたシーンで既にウルッと来た。

しかし、この映画で最大の見せ場は、紆余曲折を経て、おもちゃ達がアンディの家へ帰って来たラスト10分からだろう。段ボールの隙間から、大学通学のために家を出る息子を抱きしめ、別れの寂しさから溢れる母の台詞「本当はずっと一緒にいたかった」を聞いてハッとするウッディの姿を見て、自分もようやく気がついたが、一緒にいられる時間に制限があるのは、子供とおもちゃだけではないのだ。そんな当たり前のことも忘れさせてしまう、ウッディ達おもちゃ側へ感情移入をさせる見せ方は素晴らしいと思う。

そしてその後、自分の大切なおもちゃを近所の女の子に譲りにいくシーンで、本当にここで良いのか不安そうな表情をしていたアンディが、女の子がおもちゃと真剣に遊んでいる姿を見て微笑み、自身の体験を交えておもちゃ達のプレゼンをするシーンは涙無しには観られない。その後、子供時代に戻って2人でおもちゃと遊ぶが、アンディにとっても、おもちゃ達にしても夢のような時間だったと思う。

「おもちゃで遊ぶ」ではなく、「おもちゃと遊ぶ」と日本語を改める必要に気付かせてくれる一本だ。
十分綺麗に終わっているのに4は…要るんだろうか。
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