kazu1961

ぼんちのkazu1961のレビュー・感想・評価

ぼんち(1960年製作の映画)
4.0
▪️Title : 「ぼんち」
Original Title :※※※
▪️Release Date:1960/04/14
▪️Production Country: 日本
🏆Main Awards : ※※※
▪️Appreciation Record :2020-146 再鑑賞
▪️My Review
先日は、「細雪 ささめゆき」で昭和1980年代の美女の船場言葉の物語、本日は、本作「ぼんち」で昭和1960年代美女と船場言葉の物語を鑑賞。時代背景は違えど同じく船場言葉でなかなか楽しく鑑賞しました。
『女はこうしてくどくんや!金はこうして儲けるんや!』本作は、山崎豊子の原作の映画化で、老舗足袋問屋の一人息子喜久治の人生修業を中心に、彼を巡る5人の女、船場商家の厳しい家族制度や特殊な風習を丁寧に描いた作品です。
公開時の謳い文句は、“大阪商人の土性ッ骨と四ツに組んで、あくなき愛欲と気骨を描く野心文芸大作!”とあり、まさしくそんな作品でした。
この映画の魅力の一つは綺麗な船場言葉で交わされる会話です。 現在耳にする大阪弁とは違い、さらに色街の女たちが使う芸者言葉も非常に美しく、役者陣のしっかりした実力で再現されるこれらの会話はとても素晴らしくて、五感に訴えかけてきます。
もう一つの魅力は、キャスティングの妙味。市川崑監督は“キャスティングは演出の70%を占める”と言っており“この映画のキャスティングは上手くいった”と自画自賛しています。
主人公演じる市川雷蔵は、激動の戦前・戦後を背景に、軽妙な演技で華麗な女性遍歴を見事に魅せてくれます。
さらに生真面目で純粋な妻を演じた中村玉緒、華のある芸者ぽん太を演じた小悪魔的な若尾文子、腹の据わったお福を演じた艶っぽい京マチ子、この時代に洋服を着こなすギャンブル好きの比佐子に越路吹雪をキャスティングも絶妙で素晴らしい(特に若い頃の若尾文子はほんと美しい!!)
全ての俳優陣が船場の世界で生きるその佇まい、堅苦しい船場のしきたりや作法にも凛とした美しさがある様を見事に演じています。

「ぼんち」とは船場商家の跡取りに対する呼び名のひとつで、単なる「ぼんぼん」とは異なり、放蕩を重ねてもぴしりと帳尻の合った遊び方で、地に足がついたスケールの大きな者に与えられる愛称なんですね。(参考:Wikipedia)

さらに、ラスト付近の女優陣の入浴シーンは素晴らしいですね。。
今の時代から見ると、約60年前の日本映画界の贅沢さと素晴らしいさが凄いと感じます。演じる俳優陣個々の人が凄かったんですよね。日本映画の素晴らしさと日本文化の美しさを再認識できる作品です。

▪️Overview
山崎豊子の同名小説を市川崑が監督し映画化。脚本は市川と和田夏十による。宮川一夫が撮影、芥川也寸志が音楽を担当した。時代劇スターの市川雷蔵が1958年の「炎上」に続いて挑んだ現代劇であり、その演技は高い評価を得た。製作・配給は大映。大映は本作以降、山崎より『女の勲章』・『女系家族』・『白い巨塔』の映画化の許可を得、製作に至った。出演は、市川雷蔵、若尾文子、越路吹雪、山田五十鈴、草笛光子、中村玉緒、船越英二、京マチ子。
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