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ぐるりのこと。のtのレビュー・感想・評価

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)
3.8
親子という縦の関係、夫婦という横の関係、そして自分と第三者という外部との関係を、主人公の眼を通してまさに描出している視線の映画。
その3つの視座のどれにも偏らず、それぞれを交錯させて静かな感動を作り出しているのが上手い。壺から水が溢れ出す瞬間など声を上げてしまった。
法廷画家という無関係の対象を凝視する職業を主人公が選び、社会を震撼させたサリン事件や児童殺害事件とパーソナルな問題を絡めるのは面白い(加瀬亮の役柄が印象的)。この映画で描かれているのは誰しにも起こりうる、普遍的な物語だという事か。
豪華な俳優陣の中にあって、ややもすれば非常に重い作品になるところをその温かい存在感で中和し続ける、リリー・フランキーがやはり素晴らしい。
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