花

ぐるりのこと。の花のレビュー・感想・評価

ぐるりのこと。(2008年製作の映画)
5.0
よかった…とてもよかった…
どうしても画面構成や展開を気にして映画をみてしまうのが癖だけど、そんなのはどこかにいって、ただ夫婦の時間を一緒にみつめてしまった。
リリーフランキーの存在はほんとうすごいな…おおかみこどものときもいい声だな~と思ったら彼だったし、海街diaryのあの立ち位置もすごくよかった、声とあの佇まい、どこから湧き出るんだろう、いつもやられてしまう。彼の映画ぜんぶ観たいな。
木村多江のクライマックスシーン、胸キュンとはちがう、ぐーーーっと心にくる。つめたくなった指先をぎゅっと握って唇を噛んで、どこかに力を入れてみてしまう。
裁判のシーンでぽろぽろ出てくる名脇役のみなさん、それぞれにぴったりすぎるし演技がほんとうによい。
この内容で、タイトルが「ぐるりのこと。」なの、はあ、もう天才的。ぐるりのこと、のそのむこうにあるさまざま生活。時間。想い。出来事。ぜんぶがぜんぶぐるっと、ぐるりのこと。この映画がつかもうとしていることは、この夫婦のぐるりのことで、たぶんひとりひとり(もしくはどこかのふたり)のぐるりのこと。
ふつうの生活の映画だとおもう。ふつうの生活を映画にすることは、すごくむずかしいと思う。だからこれは、とくべつな映画です。
花