世の中を騒然とさせた事件を風景にし、1組の夫婦、そして家族の再生の物語。印象的なシーンが多い。「泣いたらそれでええんかね。ええ人なんかね」みたいなセリフがサラッと出てくるリリー・フランキー。「ちゃんとやりたいけど出来ない」と泣きじゃくる木村多江。
天井画を見つめながらじゃれ合う二人。生と死を見つめ続けてきた監督だからこそのシーンであり、希望とは人と人との繋がりの中でしか生まれないという信念が映し出された瞬間でもあるように思えた。
物語を正当化せず、ゆっくり静かに受け入れていく〝ぐるり〟
人、人、人。
それでもまた繰り返すって意味も含めて『ぐるりのこと。』