桃子

黄色いロールス・ロイスの桃子のレビュー・感想・評価

黄色いロールス・ロイス(1964年製作の映画)
4.0
「英語をしゃべるモロー様とドロン様」

監督さんは誰だったのかなあと思ってチェックしてビックリした。アンソニー・アスキス。「ピグマリオン」の監督さんだった~~(゜o゜) 片や初期のころのモノクロ映画、片や(おそらく)遺作。監督はまだ60代半ばで病死してしまっている。なんとも残念…
黄色いロールスロイスの持ち主をめぐって繰り広げられる3編のオムニバス映画である。久しぶりにコメディ映画を見た気がする。
最初はレックス・ハリソンとジャンヌ・モローのご夫婦。モロー様は完璧な英語を話している。イギリスの大富豪の奥様というゴージャスな役どころで、彼女のファッションや立ち振る舞いにも目が釘付けになった。レックス・ハリソンはこういう役どころがよく似合っている。ショーウィンドウで新車の黄色いロールスロイスを見つけて即決で購入するシーンが楽しい。あと、なんといっても駐車場のシーンが笑える。競馬を見に来ている富豪たちの車はどれも似たようなロールスロイスで、黄色だから目だってすぐにわかるというところがミソだった。なるほどねえ…
次は舞台がイタリアに移動する。ギャングの親分の情婦が中古の黄色いロールスロイスを気に入っってしまい、買ってとねだる。親分は情婦にぞっこんなのでポンと買ってやる。ふたりはアメリカからイタリアに観光旅行に来ているのである。ギャングはジョージ・C・スコットで、情婦はシャーリー・マクレーン。イタリアの観光地が出てくるので、それを見ているだけでも楽しかった。そしてそして、ドロン様!なんと路上カメラマンのチンピラみたいな役でハリウッド映画デビューしていたのだ。これにはほんとに驚いた。イタリア人の役なので、イタリア訛りの英語をしゃべっている。ドロン様ファンだからということを差し引いても、この2番目のお話が一番好きだった。シャーリー・マクレーンはこういう役が上手だなあ。スコットは「パットン大戦車軍団」の印象が強すぎる。こんなコメディにも出演していたのかと、これまた驚いた。驚きの連続の第2話だった…
最後の話はうってかわってかなり過激である。ユーゴスラビア王族の表敬訪問に向かうアメリカ人大富豪の未亡人が中古の黄色いロールスロイスを購入し、それを知った対独パルチザンの首領が同乗を願い出て、密入国を企てるというストーリー。イングリッド・バーグマンが未亡人を、オマー・シャリフがパルチザンを演じている。バーグマンはトンデモ未亡人である。コメディ映画だから滑稽さを強調しているのはわかるのだが、ミスキャストかなあと思ってちょっと残念だった。でも、彼女の美しさはさほど変わっていない。オムニバスだから出演時間は短いし、コメディだし、どろどろの衣装を着せられるし、あまりいいことはないと思うのだが、飄々と演じている。これが彼女の持ち味なのかもしれない。
桃子

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