第3逃亡者

放浪記の第3逃亡者のレビュー・感想・評価

放浪記(1962年製作の映画)
5.0
加東大介さんが天使にしかみえない。でこちゃんは下宿でうちわを扇ぐ動作を始め常に手に何かを持たされ、手渡され、運ばされているのだが(貧乏暇なし)、加東大介から手渡されるものといえばせいぜい金子ととんかつであって、そのとんかつも厳密には受け取っていない(はずだ)(忘れた)し何度かある金子の貸し借りも机や床に置かれ手渡しされることはない。一方でこちゃんは履歴書、原稿、タオル、手紙、書留など手渡し手渡されることによって次々と新しい生活へと放浪していくのだ。ラスト付近の火鉢を挟んだ二人を横から捉えた光景は加東さんの方が明らかに手に持ったたばこをもて余していて火鉢の底にぐりぐりやるそのしぐさはもう渡すものもその機会さえも失われた天使のやりきれなさがにじみ出てくるかのようだ