yoichiro

悪魔の美しさのyoichiroのレビュー・感想・評価

悪魔の美しさ(1950年製作の映画)
3.5
12月11日 DVDで観賞

ファウストの伝説をモチーフにしたファンタジー。
永遠の美青年ジェラール・フィリップと老練なミシェル・シモンがファウスト教授と悪魔メフィストフェレスを互いに演じる二人四役を見せる。ミシェル・シモンは学問一筋でむっつりとしていたファウストと悪魔が変身した快活で狡賢いファウストを演じ分け、ジェラール・フィリップは学生の姿になった不敵に笑うメフィストフェレスと若者になって恋と野望に生きるファウストを演じ分ける。
ファウストが追求する錬金術だけではなく、悪魔がその知能を活かして、潜水艦や爆撃用飛行船、そして細菌といった兵器の開発をそそのかし、遂には核兵器の開発に至ろうとするのが現代的で寓話性が高い。錬金術の金が王国の経済を左右し、遂には国民の暴動が発生する展開も、風刺が効いている。そして、王妃とジプシーの娘という二人のヒロインの間でファウストが揺れ動くのも永遠の美青年らしい。破滅的な未来を知って、ファウストがジプシー娘の元へと去ってしまうと、「あの娘は魔女に違いない。無罪でも構わないので死罪にしてしまおう」と嫉妬の余り、何気に国王を唆す王妃も人の業を見せている。
「美女と野獣」も然りだが、フランスのファンタジーは特撮に余り頼らずに幻想的なストーリーを語るのが上手い。
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