カトヤン

深夜カフェのピエールのカトヤンのレビュー・感想・評価

深夜カフェのピエール(1991年製作の映画)
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田舎から都会へ俳優を目指し出てきた少年ピエールがパリで敗北していくドラマ。
アンドレ・テシネ監督作。この人の作品はなぜか胸に残るものが多い。この作品も然り。

純粋で無教養で自意識過剰であるが故に人を傷つけたりする少年が都会で生きる術を身につけ、何かを失ってしまう。
たぶんピエールのような人たちは沢山いるのだろう。
無一文になって男娼を選択するのが痛々しい。

また都市生活者の孤独のようなものが色濃く描写されているのが素晴らしいと思う。

かなり小説的な味わいを持つ作品で、都会と田舎、夢と現実、同性愛と異性愛、愛と売春などピエールは「世界」を文字通り身をもって知ることとなる。

原題は「キスはしない」。そんな彼の最後のプライドも壊す展開は衝撃的。

またパリへ戻るとピエールは宣言するのだが、彼は最後どこに向かったのだろうか?
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