Akito

プリピャチのAkitoのレビュー・感想・評価

プリピャチ(1999年製作の映画)
2.5
ここ数日、立て続けに良質なドキュメンタリーを観てきた。無知でいることの恐ろしさ、無関心でいることの恥ずかしさを教わった。最近目にする"検察庁法改正案反対"や"blacklivesmatter"などの政治的ハッシュタグは、その良し悪しは全く別として、問題と向き合う姿勢の表れだ。長い歴史の中で、 一人一人の小さな意識の相互作用が大きなうねりを生んだように、政治について話すというタブーも、少しずつ許されていくのかもしれない。そういう営みこそが、現代における人間の進化であり、自分に足りないものだとドキュメンタリーは示唆してくれた。
だから当然、今回も期待をしていた。本来は立ち入り禁止であるチェルノブイリ原発の周辺30kmに、今も住んでいる人の記録。モノクロ、音楽無し。さすがに薄味だなと思いつつも、好奇心を調味料に淡々と流れる無味無臭の映像を取り込んだ。なんでわざわざ汚染された場所に住むのか、そこで働くのか。そうせざるを得ない理由は何だろうか。なんとか最後まで見たけど、最後の最後まで現地のちょいイカれてる老人の戯言か、黙ったら負けみたいなおばちゃんの不平不満大会って感じで、人様の150分を使って何を伝えたいのかがまるっきり見えてこなかった。何しにチェルノブイリ行った?
ということで以下、プロダクションノートのメモ。『まず言っておきたいことは、私は単に世界の絶望的な地域に興味を持っているわけではないということだ。 ~中略~ 私の映画は人間に集中したいと思っていて、個人の運命を拠り所に歴史を物語ることを試みている。 ~中略~ たまたまその地域で生まれ生活していた人たちが事故の結果と実際に向き合い、どう折り合いつけざるをえないかということは、これまできちんと提示されたことがなかった。 ~中略~ 既知の情報をすでに観客が持っていることを前提に、それを補完 するものであり、その時代に特徴的な事柄を ― 従来とは異なる視点から ― 記録に留めるものだと考えている。』
記録用かいっ!!!
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