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アウトサイダーのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

アウトサイダー(1983年製作の映画)
4.8
オクラホマ州タルサ。14歳のポニーボーイ(C・トーマス・ハウエル)は、両親を交通事故で失い、長兄のダリーことダレル(パトリック・スウェイジ)が親代りをつとめている。ポニーボーイの住むイーストウッドは貧民階級の町で、ポニーはグリースと呼ばれるツッパリ・グループの一員だ。ウェストウッドは金持ちたちが住んでおり、こちらにはソッシュというグループがあった。
ポニーボーイは、2歳上のジョニー(ラルフ・マッチオ)、リーダー格のダラス(マット・ディロン)といつも一緒だ。
その夜も、三人はドライヴ・イン劇場に行き、裏側からこっそり入り込み、後方の一般席に陣取った。スクリーンには、AIPの65年作品”Beach Blanket Bingo”が上映され、バスター・キートンの顔がみえる。
彼らの前にソッシュの女の子2人がいた。いつものようにダラスがからかい出し・ジョニーが割って入る。女の子の1人チェリー(ダイアン・レイン)が礼をいう。
彼女たちを送っていくことになるが、後からソッシュの自動車が追いかけて来た。チェリーのボーイ・フレンドで酔ったボブ(レイフ・ギャレット)が、彼らにからみ出す。グリースの1人で血の気の多いツー・ビット(エミリオ・エステヴェス)がガラス瓶を割り、身構える。
その場はチェリーが制しておさまった。
ジョニーの家では、両親が喧嘩している。彼は空地に行き、ついて来たポニーボーイに自殺したいともらす。ジョニーと別れて家にもどるポニーボーイ。午前2時を過ぎていた。心配していた兄のダリーは怒り、次兄ソーダポップ(ロブ・ロウ)がとめる間もなく、ポニーボーイをなぐる。
彼は家を飛び出し空地で寝ていたジョニーのところへ行き、2人は寒い街をさまよい歩いて公園へ。2人をソッシュのムスタングがつけていた。車からソッシュが数人降りると、ポニーボーイの頭を噴水の水につける。ジョニーは夢中でボブを刺し殺す。
2人はダラスに相談しに行った。事情を聞いたダラスは、2人に貸物列車に乗ってタルサを離れ、廃屋になっている教会に姿を隠せという。2人はその通りにする。
朝焼けを見て、ポニーボーイはロバート・フロストの「自然は黄金の輝きを持って生まれた。だが、何ものも黄金のままではいられない」という詩を暗誦した。
やがて、ダラスがやって来て、3人はドライブをする。その間に子供たちが教会に遊びに来ていた。
ジョニーたちの消し忘れた煙草のおかげで教会は火の海に。ポニーボーイとジョニーは、ダラスのとめるのを振り切って、火の中にとび込み子供たちを助ける。
だが、ジョニーは燃えおちた梁のために大火傷を負う。救急車で病院に運ばれるジョニー、ポニーボーイ。ジョニーは重傷のために入院させられることに。「俺、前に死にたいって言ったけど、本当は生きていたい」とポニーボーイに訴えるジョニー。
ソッシュとグリースが大喧嘩をすることになった。ダニーが先頭になって決闘の場所に行き、大混戦の末にソッシュをやっつけた。病院へもどったダラスはジョニーの死を知ると、ヤケをおこして、スーパーを襲って逃走。パトカーに追われて、ついに射殺されてしまう。ポニーボーイは、ジョニーからもらった本「風とともに去りぬ」に挾まっていた紙を発見。それには、「いつまでも黄金でいろ」と書いてあった。
S・E・ヒントンのベストセラー青春小説の映画化。
ストーリーは、ポニー・ボーイとジョニーの友情を軸に、描かれる。
喧嘩やナンパ、ドライブインシアターやガレージや公園でウズウズした気持ちでワクワクすることを探してうろついたり、夜通し話し込んだり、親兄弟との関係に悩んだりする青春模様を、後に「ブラッドパック」と呼ばれるようになるC・トーマス・ハウエルやラルフ・マッチオやエミリオ・エステベスやマット・ディロンなどの若手イケメン俳優が演じることで、より鮮やかで瑞々しい青春そのままの輝きが真空パックされたような爽やかさがある。
特に、ポニー・ボーイとジョニーが朝焼けを見て、心を通わせるシーン、ポニー・ボーイとチェリーが夕日の話をして心を通わせるシーンが、印象的。プレスリーやローリング・ストーンズそしてサイコーな主題歌を熱唱するスティービー・ワンダーなどの劇中音楽も、素晴らしい。
「若者の青春や心を通わせる親友や友情や朝焼けを美しいと思える瑞々しい感性は黄金で、大事にして欲しい」というコッポラ監督の若者へのエールのように思える傑作青春映画。
「いつまでも黄金でいろ」
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