es [エス]の福福吉吉のレビュー・感想・評価

タクシー運転手で記者のタレクは新聞広告で大学の実験の被験者募集を目にする。その実験は大学内の模擬刑務所の中で、「看守」「囚人」に分かれて、それぞれの役になりきって2週間生活するというものだった。高額の報酬と良い記事になるという目論見から応募したタレクだったが、その実験は思いもよらない方向へと進んでいった。

非常に面白かった。
「看守」「囚人」という役目にどんどん染まっていく被験者たち。特に看守の方の変化は凄まじく、途中から暴走していった。その様子は観ていて非常に不愉快なんだが、この先どうなるのか気になって観ることを止められなかった。
囚人の役になったタレクは最初、良い記事にするため、ことあることに騒ぎ立てて看守と衝突していくが、看守たちの仕打ちにタレクがどんどん衰弱していく様子がかなりリアルに感じられた。
フィクションだけれど、観ていてフィクションだということを忘れてしまうぐらい衝撃的だった。タレクの彼女のシーンが所々挟まっていたので、そこでなんとかフィクションであることを思い出せた。そのシーンの意味はよく分からないけど、個人的には助かった。
最後まで観て、非常に疲れたけど面白く感じてしまった。私の精神も壊されてしまったのかもしれない。