タカ

ファニーゲームのタカのネタバレレビュー・内容・結末

ファニーゲーム(1997年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

「虚構は現実」

ミヒャエル・ハネケ初体験
厳かなオペラの調べからパンクロックの騒乱
いたって平和なバカンスの平静に対して待ち受けるのは暴力と破壊の激情
すべり落ちる勾配の先は地獄の様相
虚実の入り混じる世界の中で
神(ハネケ)は蜘蛛の糸を垂らすことも許さない
悪魔のような2人へ感じる恐怖は映画内という"虚構"
対して安全圏で歯軋りしながら傍観を決め込むしかない私たちの"現実"
"虚構"の2人を仲介にして"現実"に向けてFunny Gameを仕掛けたハネケが心底恐ろしい
鑑賞後に感じる込み上げるような胸糞は"虚構は現実"という無意識下の理解によるものだろう

要所要所のメタ的演出
観客に対する問いかけ、時間の巻き戻し
少年2人ととある家族のゲームではなくて、製作者と私たちのゲームであることを示す
送り手にとっては面白おかしい娯楽
受け手にとっては気分の悪い悪夢
一方に対してひたすら都合よく約束されたワンサイドゲーム
そして結局のところ、ゲームは勝者と敗者がいてこそ成り立つもの
いつだってハッピーエンドという結末はどちらか一方の印象にすぎない

直接的表現をあえて見せないのは
その連想さえゲームの一部と捉えているからなのか
何が起こったのかどう苦しんでいるのか
明確な回答がないからこそ頭の中で反芻させられて最悪の映像を何通りも構築させられる
それも含めて愉快で不愉快なこのゲームの醍醐味

Funny Game"s"
延々と繰り返されるゲームに付き合う気はさらさらない
だけど、、
もし圧倒的な勝機のもとで支配できると分かれば私はこのゲームに舞い戻ってしまうのだろうか
ワンサイドゲームの送り手側として…
そんな想像さえさせるところが本当に怖い
タカ

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