「みなさんはどっちに賭けますか?」
メタ発言ぶちかますスタイルが斬新。共犯意識持たせると同時に、見方によれば(これがネタバレになるから言えないが)唯一の救いとも受け取れる。
ミヒャエル・ハネケ監督は
「ハリウッド映画は暴力を快楽の道具につかっている」と発言しているので、ハリウッド映画へのアンチテーゼ映画なのは明らか。
本作を観るとこの言葉の真髄が理解できる。
この手の作品に求めるものは、救いかカタルシスのどちらか。そのどちらをも得られないモヤッとした感覚の正体がエンタメ性の欠如なのだと思う。
そういう意味での胸糞。
そしてこの映画の最大の怖いポイントはこの2人組の異様なリアルさ。リメイク版より断然こっち。現実で殺人鬼に出会ってしまったかのような不気味な空気が終始漂ってた。
┈┈┈┈┈ネタバレ┈┈┈┈┈
本作では唯一意見の分かれそうなところがあった。それは死ぬ順番。
ホラーにおいてエンタメ性を求めるなら死ぬ順番は重要になる。
イチャつくカップルは真っ先に死に、子供は殺さないというもの。
なぜならイチャつくカップルと対照的に子供は動物の次に共感を集める存在だから。
だが本作では息子を真っ先に殺す。
犬→息子→父→母の順。見る側からすると息子の死のショックがピーク。後は途端にどうでもよくなってしまう。
エンタメ性を削るならしょうがないと思うものの個人的に息子は最後まで足掻いてもらいたかったというのが正直な感想。
それでもスリリングでお気に入りの1作に変わりはない。続編も鑑賞予定。